本研究では大正期の道府県統計書にもとづく社会事業関連の多様なデータを5種類の冊子にまとめることができた。Ⅰ:財政、Ⅱ:社会事業、Ⅲ:社会事業施設、Ⅳ:その他、の統計表とⅤ:入力覚書である。そのうちⅠの財政については、一般会計にとどまらず特別会計や債券発行などにも目を向けることによって、社会事業財政支出が従来指摘されてきたよりも多様な広がりを見せていることが判明した。しかし、それ以外の項目については分析にまでは至らなかった。さらに明治期、昭和戦前期の全体を見渡しうる基礎資料の作成と分析についても未完のままであり、今回まとめた5種類の冊子は当初の枠組みを埋める第1歩として位置づけておきたい。
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