本調査研究は、「職員の『意識変容』に働きかける職場環境・職員集団づくりのためのモデルの構築」を研究課題として掲げ、職場内での人材育成システム(OJT・OFF-JT)の構築を目指すものである。研究期間3か年の最終年度にあたる平成26年度は、理論的に構築した社会福祉現場における人材育成システムのモデルを実際に、社会福祉現場(施設)に適用しうるのか否かを検討することを課題としてあげていた。社会福祉学以外の研究領域の知見を取り入れながら、人材育成システムのモデルを理論的に構築し、実際に適用する場合のシミュレーションを調査協力施設である児童養護施設とともに行ったところまでが今年度の到達点である。理論的に構築した人材育成システムの特徴は、以下の2点に集約される。 1.職員同士の人間関係の円滑化と人材育成を連動させる仕組みとして構築する。人間関係の円滑化が人を育て、人を育てることが人間関係の円滑化をもたらす仕組みづくりを行う。 2.職場内のOFF-JTとしての研修、OJTの提供に際しては、最適な研修提供時期、研修内容の設定を現場実践との連動性をふまえて、設定する。また、育てる人と育てられる人の循環を生み出す仕組みをつくり出し、現場(施設)全体で人材育成に関与する仕組みをつくる。 協力施設の人材育成に関するこれまでの取り組みをふまえながら、上記2点の特徴を備えたOFF-JTとしての研修の体系化を3年を1クールとして構築した。OJTやその他現場の実践との連動性に関する具体的な中身の検討は、今後の課題として残された。
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