研究課題/領域番号 |
24530762
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研究機関 | 桃山学院大学 |
研究代表者 |
栄 セツコ 桃山学院大学, 社会学部, 教授 (40319596)
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キーワード | 精神障害をもつ当事者 / 病いの語り / エンパワメント / 福祉教育 / 中学生・高校生のメンタルヘルス |
研究概要 |
本研究の目的は、精神疾患の好発期にある中学生・高校生に対するメンタルヘルス教育に焦点をあて、精神障害をもつ当事者の語りが学習教材となる可能性を探求することにある。研究の初年度にあたる昨年度は先駆的にメンタルヘルス教育を行っている団体・機関を視察し情報収集を行った。 それをふまえ本年度では次の2点を目標に設定した。①先駆的にメンタルヘルス教育を行っている5つの団体・機関の実践とその効果の検証、②中学生・高校生に教育的効果のある語りを行う当事者にとって、本教育活動に対する意義の検証である。 ①団体・機関が行っているメンタルヘルス教育に関して、目的の差異によって疾病教育(病気の理解)、精神保健教育(ストレスマネジメント)、福祉教育(共生社会への意識醸成)の形態があることが明らかになった。いずれの団体・機関も目的に応じた学習教材が工夫され、当事者の病いの語りを取り入れていた。その結果、聞き手の中学生や高校生には教育目的に対応した効果がみられたが、語りを行った当事者への効用を考慮した実践は福祉教育でみられた。②教育機関で語りを行った当事者に対して、教育活動による自己変容のインタビューを実施した結果、聞き手の好意的な反応がエンパワメントに寄与することが明らかになった。 以上の詳細については2つの論文と報告書にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展している。しかし、精神障害をもつ当事者の語りが実施できる教育機関が外部講師等への予算削減などの理由で激減している。また、学習教材となる語りを行う当事者を支援する団体や機関が度重なる法改正によって、法に規定されていない語り部活動や教育機関の活動について時間を割くことが難しくなっている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本研究の最終年にあたるため、2つの成果を出していきたいと思っている。 ①中学生・高校生に対する目的別による当事者の語りを取り入れた学習プログラムを考案する。②学習プログラムにおいて当事者の語りが効果的になるような戦略を考案する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究はほぼ順調に進行しており、残額については次年度の入金をまって執行する予定で ある。 研究はほぼ順調に進行しており、残額については次年度の入金をまって執行する予定で ある。
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