研究課題/領域番号 |
24530765
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
津田 理恵子 神戸女子大学, 健康福祉学部, 准教授 (80441202)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 社会福祉領域 / 回想法 / 懐かしさ / 生きがい / 高齢者 |
研究概要 |
1.グループ回想法の実践については、特別養護老人ホーム入所者へのグループ回想法を毎月1回開催し、その介入効果を確認した。その結果、調理の動作を通して、重度認知症高齢者の精神的安定が図れるなどの効果が確認でき、ほとんど言葉を発しなくなっていた認知症高齢者から、発語が聞かれ意思疎通が図れるなどの変化が確認できた。 さらに、グループホーム入所者へのグループ回想法を毎月1回開催すると同時に、グループホーム内において昔の映像を活用したオープングループ形式の回想法を実施し、その介入効果を確認した。その結果、周辺症状として帰宅願望があった利用者の訴えがなくなるなど、周辺症状の軽減に効果が確認できた。 2.継続支援として、地域の元気高齢者へのグループ回想法修了者の同窓会を3~4ヶ月に1回開催し、社会参加支援を継続して実施した。その結果、上昇した生きがい感は維持される傾向がみられた。特別養護老人ホーム入所者への継続支援においても、継続支援を実施したグループのみ上昇した生きがい感が維持されていた。 3.回想法の普及活動として、回想法のパンフレットを作成し地域住民(認知症サポーター中心)や福祉現場の職員に、地域包括支援センターや社会福祉協議会と連携し、回想法の講座や回想法実践者養成講座を年に数回開催した。その際のアンケート調査の結果では、講座後に96.8%が回想法の技法を理解し、88.9%が回想法の技法が活用できそうであると答え、87.3%の者のコミュニケーションの自信が向上しており、65歳以上の参加者の生きがい感は上昇している者が多かった。これらのことから、回想法の技法を活用した地域づくりを目指す仕組みを整理して示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、応募者が取り組んできた地域に在住する元気高齢者を対象としたグループ回想法で新たに形成された人間関係を活かし、回想法実践者として、虚弱高齢者への個別回想法ボランティアが実施できるよう支援を展開し、長期的にサポートする中で生きがい感の変化を確認することを目的としていた。その結果、元気高齢者が回想法スクールに参加したことで生きがい感が上昇する傾向が確認でき、その後、地域回想法リーダー養成講座を受講したことで、さらに生きがい感が上昇する傾向が確認できた。これらのことから、元気高齢者の力を活用した地域作りにおいて回想法が活用できることが確認でき、その具体的方法が提案できた。 一方、特別養護老人ホームで入所生活を送る虚弱高齢者を対象としたグループ回想法では、生きがい感に影響を与える以外に、認知機能や日常生活動作の改善が示され、認知症の周辺症状の軽減に効果があることが明確になったことから、継続した支援を展開し長期的にその効果を検証した結果、継続支援を提供したグループのみに生きがい感の維持・向上が確認できた。 さらに、虚弱高齢者の対象を多様な施設種別で入所生活を送る高齢者に広げ、施設から地域のベクトルで、地域の中でグループ回想法を実践し介入効果を検証することを目的とし、グループホーム入所者へのグループ回想法を実践した。その結果、周辺症状として帰宅願望があった利用者の訴えがなくなるなど、周辺症状の軽減に効果が確認できた。 そして、回想法の認知度が低いことから、福祉施設職員や地域住民に対して回想法の技法や成果を伝える普及活動を実施した。その際のアンケート調査の結果では、講座後に96.8%が回想法の技法を理解し、88.9%が回想法の技法が活用できそうであると答え、87.3%の者のコミュニケーションの自信が向上していることが確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね計画通りに進行しているため、当初の予定通りに平成25年度の研究を推進していきたいと考えている。 具体的には、元気高齢者の回想法ボランティア支援を継続し、生きがい感スケール(K-1式)の調査を実施し、その効果を確認する。回想法ボランティアをシステム化するための課題について検討し整理する。 高齢者福祉施設で生活を送っている高齢者を対象に、施設から地域のベクトルで実践したグループ回想法の介入効果を整理し、腑活化した機能の維持・向上に向けた具体的支援を整理する。 47都道県の特別養護老人ホーム・グループホーム・老人保健施設から無作為抽出した131件を対象に回想法の認知度や実施状況について郵送法で調査を実施する。 回想法の普及活動を実施し、普及活動を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の予定通り、グループ回想法実践における刺激材料の購入や研究成果の学会発表や普及活動における交通費、郵送法による調査に必要な郵送代などを予定している。
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