研究課題/領域番号 |
24530765
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
津田 理恵子 神戸女子大学, 健康福祉学部, 准教授 (80441202)
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キーワード | 社会福祉領域 / 回想法 / 懐かしさ / 生きがい / 高齢者 / 地域つくり |
研究概要 |
加東市地域包括支援センターと連携し市内9か所で回想法スクールを開催した。その際、地域の元気高齢者が回想法スクールの運営を担い、民生委員の協力を得て閉じこもり高齢者にも参加してもらうだけでなく、グループホームの入所者にも参加してもらった。その結果、回を重ねるごとに閉じこもり高齢者の拒否が無くなり笑顔で自主的に参加するように変化した。さらに、グループホーム入所者も地域住民に混じってグル―プ回想法に参加し笑顔で過ごす時間が増えた。回想法スクール参加前後に調査を実施した合計77名(男性22名・女性55名。平均年齢±標準偏差78.6±6.5歳)の生きがい感スケール(K-1式)の結果は、回想法スクール参加前が平均値±標準偏差23.4±5.5点で、参加後が24.6±5.5点なっており、回想法スクールの参加によって生きがい感得点が上昇していた。そして、回想法スクールを運営している元気高齢者の生きがい感は平均得点±標準偏差で27.1±4.3点で生きがい感が低い高齢者は一人もいなかった。さらに、市内2か所のグループホーム内で定期的なグループ回想法を行い、元気高齢者のボランティアによる運営で、認知症高齢者の周辺症状が軽減するなどの効果が確認できた。 稲美町、尾道市では社会福祉協議会と連携し、元気高齢者の回想法ボランティア養成講座を開催し、回想法を活用した地域つくりに向けての継続支援を行った。さらに、回想法普及に向けた活動として福祉施設職員や地域住民を対象にした回想法の講座を数回開催した。 一方で回想法の認知度を調査する目的で、日本全国の高齢者福祉施設・事業所と地域包括支援センター・社会福祉協議会を各県から50か所無作為抽出し、合計2350件に対して往復はがきによるアンケート調査を2014年1月~3月の期間で実施した。その結果については、現在データの入力作業中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では元気高齢者のエンパワメントを活用して、元気高齢者が回想法スクールの運営を担い、虚弱高齢者への回想法スクールを運営することを通して、元気高齢者・虚弱高齢者共に生きがい感が向上していくことを目指している。その中で今年度は、元気高齢者が回想法のボランティアとして活動できる環境整備に取り組み、地域の中で回想法スクールを通したボランティア活動が実践できるようになった。このことを通して、回想法を実践する元気高齢者と回想法スクールに参加した高齢者の生きがい感の変化が確認できた。 さらに、当初の予定よりも対象件数を増やして回想法の認知度調査も実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね計画通りに進行しているため、実施している回想法の認知度に関するアンケート調査のデータの入力・分析を行っていきたい。 また、平成25年度にグループホーム内で実施した回想法スクールの介入効果についてもデータを整理し分析したいと考えている。 さらに、回想法の普及活動を引き続き実施するとともに、回想法を活用した地域つくりについて整理していきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を遂行するうえで必要な経費としてほぼ計画していた予定通りに平成25年度分の予定額を使用したが端数として9円残った。 残金9円は平成26年度の研究計画を遂行するうえで、必要となってくる物品購入の一部として使用する。
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