研究課題/領域番号 |
24530769
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 四国学院大学 |
研究代表者 |
石井 洗二 四国学院大学, 社会福祉学部, 教授 (00299356)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 慈善 / 福祉労働 / 実践思想 |
研究概要 |
本年度は、福祉実践に関連する人物史の先行研究の検討、明治期の慈善事業論から昭和戦前期の従事者論にいたる言説史の分析、戦後の福祉実践に関する研究史の分析、を主におこない、福祉実践に関する予備的考察を重点的に進めた。 1,福祉実践に関連する人物史の先行研究の検討は、『人物でつづる近代社会事業の歩み』『社会事業に生きた女性たち』『日本社会福祉人物史』『人物でよむ近代日本社会福祉のあゆみ』などで取り上げられた人物について網羅的に先行研究をリスト化したうえで、文献・論文を収集し、分析をおこなった。この検討を通じて、人物史研究の研究動向を把握するとともに、福祉実践の分析手法を考察した。 2,明治期の慈善事業論から昭和戦前期の従事者論にいたる言説史の分析は、1880年代から1890年代に用いらるようになった慈善の語の社会的文脈の多様性についての考察、1920年代から社会事業の語が用いられるようになってからの慈善の語意の変化についての考察、などをおこなった。このうち前者については「〈慈善〉の多様性と「社会事業ジャーナリズム」の可能性」として研究発表をおこなった。 3,戦後の福祉実践に関する研究史の分析は、1960年代~70年代の鷲谷善教、真田是らによる福祉労働論の考察、1980年代後半~1990年代前半の実践思想史研究会の活動分析と土井洋一、遠藤興一、宇都榮子、丹野喜久子、西村みはる、井上和子、松本園子、山田明らによる研究成果の考察、などを行った。 4,その他、福祉実践に関する概念的な検討や、近代日本における共同性に関する歴史的検討をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に計画していた、①明治期の慈善事業論から昭和戦前期の従事者論にいたる言説史の分析、②戦後の福祉実践に関する研究史の分析、はおおむね順調に進展している。 具体的な作業として予定していた、①『岡山孤児院関係資料集成』など復刻資料の検討、②『慈善』『社会と救済』『社会事業』など機関誌・雑誌の検討、③従事者論、福祉労働論、資格制度化をめぐる議論の検討、④社会福祉実践思想史の検討、のうち、②③④はおおむね順調に進展している。一方で、人物史に関する先行研究の分析を優先的に進めたため、①は次年度におこなうこととした。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、①福祉実践に関する研究史の考察、②共同性の変容と施設史に関する考察、③福祉実践の組織化・科学化に関する歴史的考察、の3点を研究する。このうち特に平成25年度は、共同性の変容という観点から施設史の考察を重点的におこなう。 文献研究を中心に進め、関連学会への参加を通じて研究動向を取り入れていく。また、これまでの考察を含めて、順次、研究成果の発表をおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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