研究課題/領域番号 |
24530769
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研究機関 | 四国学院大学 |
研究代表者 |
石井 洗二 四国学院大学, 社会福祉学部, 教授 (00299356)
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キーワード | 慈善事業 / 社会事業家 / 福祉労働 |
研究概要 |
本年度は、福祉労働論の検討、社会福祉従事者論の研究史の検討、福祉実践に関する概念の歴史的検討、福祉実践の具体的展開の検討、を主に行い、福祉実践の組織化・科学化に関する考察を重点的に進めた。 1,福祉労働論の検討は、社会福祉運動との関連性、ボランティア論との関連性を中心に考察した。また、『社会福祉学』『月刊福祉』『社会福祉研究』『基督教社会福祉学研究』などで取り上げられた福祉労働論の考察を行った。 2,社会福祉従事者論の研究史の検討は、秋山智久、渡邊かおりなど先行研究の整理、阿部志郎による福祉実践論の検討、近年のヒューマンサービス論の検討などを行った。また、福祉実践史の方法について杉山博昭、永岡正己など近年の研究の整理を行った。 3,福祉実践に関する概念の歴史的検討は、1920年代の「社会事業家」論の考察、『私設社会事業』の分析、1946年から1949年までの雑誌『社会事業』の検討、吉田久一による「慈善事業」論の考察などを行った。 4,福祉実践の具体的展開の検討は、先駆的な福祉実践に関する近年の研究成果を検討するとともに、米軍統治下の沖縄を取り上げて社会福祉施設・団体の設立経緯等の考察を行った。後者については「沖縄の社会福祉史と福祉実践」として研究発表し、また、「1950年代の沖縄における社会福祉施設・団体」として論文にまとめた。 5,その他、利他主義、互恵性などの概念を中心に隣接領域の先行研究を検討して、共同性に関する理論的な考察を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、共同性の変容という観点からの社会福祉施設史の考察を中心に行う方針を立てていたが、福祉実践の組織化・科学化に関する考察を先行して行うことが適切と考えたため、当初の研究計画を修正し、平成26年度に予定していた内容を本年度に行った。そのうち、①昭和戦前期における福祉実践の組織化・科学化の背景と経緯の分析、②福祉実践の組織化・科学化をめぐる議論の分析、はおおむね順調に進展した。 具体的な作業として予定していた、①『社会事業彙報』『私設社会事業』などの検討、②実践現場からの議論の整理、③ソーシャルワーク実践の組織化・科学化に関する現在の研究成果の検討、のうち、①③はおおむね順調に進展している。②は地域福祉史や処遇史の分析と併せて次年度に行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、①福祉実践に関する研究史の考察、②共同性の変容と施設史に関する考察、③福祉実践の組織化・科学化に関する歴史的考察、の3点を研究する。このうち特に平成26年度は、共同性の変容という観点からの社会福祉施設史の考察を重点的におこなう。 文献研究を中心に進め、関連学会への参加を通じて研究動向を取り入れていく。また、これまでの考察を含めて、順次、研究成果の発表をおこなう。
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