研究課題/領域番号 |
24530773
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研究機関 | 山村学園短期大学 |
研究代表者 |
鈴木 孝子 山村学園短期大学, 未登録, 研究員 (30030050)
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研究分担者 |
橋本 淳一 山村学園短期大学, その他部局等, 准教授 (50461760)
羽岡 佳子 山村学園短期大学, その他部局等, 講師 (80556671)
村石 理恵子 山村学園短期大学, その他部局等, 講師 (90556672)
山村 穂高 山村学園短期大学, その他部局等, 准教授 (10310286)
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キーワード | 乳幼児の発達 / 乳幼児の遊び / 子育て観 / 子どもを持つ意味 / ワーク・ライフ・バランス / 地域基盤 / 子育て支援システム / 子育て支援ネットワーク |
研究概要 |
内容:昨年度実施したB町の9団体,68名に対するグループインタビューの分析結果をもとに、①幼児期の遊び場、②子育て中の母親の働き方、③子育てで一番大切に思っていることの3点で都心部と比較するとB町としての特徴があった。これらの具体的調査過程、内容、分析について『社会資源を活用した町型子ども・子育て支援ネットワークのあり方に関する研究報告書1』2014/8に記載済みである。25年度はグループインタビューによるデータ分析を基にベネッセ等、既存の調査票も組み入れ数量調査票を作成し、実施、集計した。ただ、当初計画していた父母、その他の保護者という三対象の調査票作成を取りやめ、末子の保護者対象に一本化した。変更した理由は、前後して国主導による行政のひとり親家庭調査や次世代育成支援計画調査が実施され、調査対象の町民の調査拒否反応、負担軽減を考慮した。行政との話し合いで行政の調査結果を提示していただくこと、調査に行政の協力も欠かせないことがその背景の理由である。 意義:行政による調査はあくまで「子育て支援」の諸サービス策定面に焦点が当たっているのに対し、本研究は、良くも悪くも、地域住民の地域での暮らしと子育てを総合して考えている視点から地域を基盤にした子ども・子育て支援ネットワークや支援システムを展望しようとする。 重要性:家族と地域の人々の結びつきや人間関係の価値観が、この50年、大きく変化している状況もにらみ、「子ども・子育て」を地域を基盤とし、地域自体の展開を探る意義とそこから見えてくる子ども・子育て支援システムについて将来展望も組み込み、考える視点の重要性を問いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度中の到達点、数量調査データ分析は、単純集計のグラフ化まで進み、統計分析を始めている。当初の計画設定が少し不十分であり、協力をいただく町教育委員会や幼稚園、保育所等とのスケジュール合わせもあって、調査実施は4か月ほど先送りとなった。現在、数量調査結果を報告書2としてまとめつつある。 これまでのところでグループインタビューの分析がやや遅れたこと、数量調査実施時期が予定よりも遅れたが、研究全体の進行に大きな影響はない。研究全行程の6割が充分な結果を得て終了している。 今後は結果データの統計分析(共分散分析を中心に)を6月~8月に実施し、印刷予定の報告書2を研究当初から本研究に関心を示し、ご協力をいただいている行政や関係団体へ配布し、将来的なB町における子ども・子育て支援システムや支援ネットワークの展開についてご意見をいただく会を設定する。 9月以降は、質的調査であるグループインタビューの分析結果と量的調査の数量調査結果、共分散分析結果を参照しながら、B町の歴史、社会・経済環境、住民の意識を視野に 入れて、B町における住民の子ども観、子育て支援の展開とのその視点、方向性、具体的な行政、住民活動のあり方について見解を得て最終報告書としてまとめ、当初の目標どおりの成果を得られると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの2年間の質的・量的調査研究の結果をもとに、B町の乳幼児、小学生を育てている保護者がまず、どのような子育て観と地域の人間関係のあり方を模索しているかを押さえたい。この点での研究の進行具合は、おおよそ順調である。ただ、「将来的な子ども・子育て支援ネットワークシステム」を想定しようとすると次のような視点も必要になると気づき始めた。 それは、質量調査研究も説明に活かし、「将来的な子ども・子育て支援ネットワーク」の展望を持とうとすると、これまで参考としてきた教育、福祉等の現状を押さえる文献研究の他に、高度経済成長期を経て、持続可能な社会的発展を視野に入れ、社会学、経済学分野から将来的な都市や町村のあり方、働き方を予測する文献も大枠の視点で読み込む必要があることとB町が置かれている地理的・自然環境という条件も一つの特色として押さえる必要性に改めて気づいている。 B町が進めて行く可能性のある将来的な町のあり方を展望する視点や人口減少社会における新たな人間関係の持ち方やそれが織りなす社会関係づくりの場の想定をしながら、子ども・子育て支援ネットワークシステムを考えてゆく必要があることが課題になってきている。 これらの課題については、研究分担者との討議を深め、将来を担う子どもたちの育ちを見据えて枠組みづくりを考えなくてはならない。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度会計ですでに当初予定していた物品(大型プリンター)購入費を安価のなものにしたことで平成24年度にすでに370,641円の繰越が生じていた。平成25年度では、書類整理庫を購入せず、既存の本棚を使用して様子をみていたが、調査票印刷や調査票封入用の紙袋等に当初予算より多く出費したのでこの程度の残高(124,165円)になっている。 平成26年度は、研究報告書2(数量調査分析と解説)と最後に研究報告書1,2の核心データを整理し、本研究の最終的目標である「社会資源を活用した町型子ども・子育て支援ネットワークのあり方」について提言する冊子を研究報告書3としてまとめて印刷し、広範囲の関係者に配布する予定である。そのために当初予定していたものよりも上質な多色刷りのまとめとなる冊子印刷に充当する予定である。
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