「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律(障害者総合支援法)」により、障害者福祉領域においても地域における医療・福祉・介護の一体的提供する障害者の地域ケアシステム構築が求められている。これまでの福祉施策でのサービス供給計画は、対人口比で数量的整備目標を算出する方法で行われ、地理的な視点が考慮されてきたとは言えないが、今後はより良い地域ケアを目指して、サービス拠点が地理的な視点からも適正に計画されることが求められる。障害福祉サービス資源配分方策を検討するための基礎資料を得ることを目的に障害福祉者の地域・在宅生活継続を支える基盤的なサポートである障害福祉サービス事業所の地域配置状況を把握するため「地理情報システム」(GIS:Geographical Information System)を用いて、障害福祉サービス事業所の配置状況の可視化と都道府県単位および障害者保健福祉圏域単位における各種障害福祉サービスの最寄の事業所までのアクセス距離を計測し、都道府県単位および障害保健福祉圏域単位の平均アクセス距離を算出した。 研究の結果、以下のことが明らかとなった。①各種障害福祉サービス事業所までの平均アクセス距離には地域間格差が認められる ②平均アクセス距離とサービス利用には相関が認められる ③療養給付サービスの平均アクセス距離は近い傾向にあるが、通所系サービスでは遠い傾向にある ④アクセス距離とアクセス可能な人口割合の分布においても地域格差が認められる。 これらの結果より、障害福祉サービス体制を地域圏域で整備していくには、今回行ったような手法による地域資源の把握が有効と考えられた。今後は、より小さな単位、自治体単位や日常生活圏域での実態把握も必要と考えられる。
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