研究課題/領域番号 |
24530779
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
島田 千穂 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (30383110)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 看取りケア / 特別養護老人ホーム / 経験学習 / リフレクション |
研究実績の概要 |
看取りケアでは、ケアの基礎知識や技術を、終末期の利用者の状況に応じて適用させることが求められる。そのために、個々の看取りケア経験を、他の場面にも生かせるよう変換する学習プロセスの必要性から、研究協力施設において、経験からの概念化を促進する反照的習熟プログラムを継続している。今年度は、施設内でプログラム実施後、経験から概念化に至るプロセスを質的に分析した。 さらに、多施設職員を対象としたプログラムを実施して、参加者の看取りケア遂行意欲への影響について評価した。プログラムには、関東1都6県の特別養護老人ホームから、42施設(介護職71名、看護職35名)が参加した。自施設の看取りケア事例の紹介後、肯定的なフィードバックとケア内容に関する情報交換を通じた内省の機会を提供した。 本プログラムの特徴は、多様な経験の照合を可能にしたことと、経験の照合の後で、組織における課題の明確化の時間をとったことである。看取りケア遂行意欲は、ケア業務遂行能力自己評価尺度を用いて測定した。プログラム実施の1か月前と1か月後に郵送調査を行い、平均値は21.6点から22.3点へと有意な上昇が確認された。また、この得点が上昇した者は、同時に経験学習の「内省的観察」「抽象的概念化」の得点も有意に上昇した。看取りケア経験の照合を通じた内省の機会は、経験学習への態度を強化するとともに、自らのケア業務遂行意欲を肯定的な方向に自覚化させた可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進行自体は概ね計画通りである。最終年度に実施した多施設による反照的習熟プログラムに対し、予想以上の参加者が得られ、成果還元が必要とされていることが確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
計画では、最終年度実施内容について、簡単なパンフレットで参加施設に報告する計画であったが、プログラム全体の詳細な報告書を作成し、施設に還元することとした。研究期間の延長承認を受け、平成27年度に実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画では、最終年度に外部施設借り上げによるプログラムの実施を予定していたが、所属機関が新施設に移転し、施設内に開催可能な会議室ができたため、借上費と運営のための人件費を使用せず開催することが可能となった。また、研究成果還元のためのパンフレット作成のために計上していた費用は、詳細な内容を盛り込んだ報告書作成に計画を変更するため、今年度は未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度に実施したプログラムに対し、予想以上の参加者がおあった。当初の計画では簡易なパンフレットによる還元を予定していたが、詳細な内容を盛り込んだ報告書作成に計画を変更する。そのための印刷費、人件費、郵送費に充てる予定である。また、研究成果を国際学会(IAGG-ER,IAGG-Asia)で報告するための旅費と学会参加費に充てる。
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