研究課題
反照的習熟プログラムは、看取りにおいて必要と言われる「振り返り」の手順を定式化したものである。看取りでは、それまで良いケアだとされていたことが、必ずしも良いとは言えないという価値の転換が求められる。すなわち、必要とされていた医療や食事摂取量が、その人の状態によっては、益にも害にもなる可能性があり、無条件に必要や不要の判断ができない。提供するケアとそれに伴う状態変化の把握を通じて、流動的に判断していくこととなる。ケアに関わる医師、看護職、介護職、その他の職種は、それぞれの専門性に基づいて、その状態を観察し、ケアの必要性を判断する。しかしながら、ケアの終了後も、確たる評価が得られず、行ったケアの良し悪しに確信が持てないことが多い。このプログラムは、施設内外の多職種間で、その経験を共有し、肯定的な側面と改善すべき課題を発見し、共有し、次の実践への動機づけとして活用することを目的として開発した。個人で自らの実践を振り返る個人内内省と、他者との照合を通じて、自らの内省を深める協働的内省の2段階から成る。個人内内省は、リフレクションモデルに基づき構成した。リフレクションをサポートするツール、看取りケア確認シートを用いる。協働的内省は、関わった職種間で経験を照合させ、内省を深める段階である。進行役は、検討会の準備として、事前にテーマを設定する。検討会では、全員が発言できるようにすること、批判的な発言が中心にならないようにすることなどに配慮し、進める。また、多施設の職員間で実施したプログラムでは、実施後のケア遂行・改善意欲が向上し、その効果を確認した。これらの成果を「看取りの振り返りを有効に実施するためのガイド;反照的習熟プログラムのすすめ」としてまとめ、調査に協力した関東一都六県にある特別養護老人ホームに配布した。ホームページでも公開する予定である。
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http://www.tmghig.jp/J_TMIG/kenkyu/team/syumatsuki_care.html