研究課題/領域番号 |
24530780
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
新名 正弥 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 助手 (70312288)
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研究分担者 |
高橋 龍太郎 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), その他部局東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (20150881)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 介護保険制度 / 施設 / 高齢者 / 安否確認 / 保護 |
研究実績の概要 |
まず、東日本大震災における被災地であるA県B市の介護保険給付情報を得て、発災後の介護保険サービス利用状況を把握した。その結果、在宅サービスのサービス利用は一時的に減衰したものの、3ヶ月程の期間を以て平常利用に戻っていた。一方、A市の場合、老人保健施設の利用額が発災後一時的に増加した。次いで、A市で発災時の救護に当たった行政職、専門職、施設職員、保健師等に対して当時の状況について訪問調査を実施した。その結果、A市の在宅サービス事業者は、原発事故の影響もあり、被災時点で従事者が県外に避難したことでサービス提供が困難となったこと、また、居宅介護支援専門員が担当者に安否確認を行ったことで行政担当者の情報把握に貢献したこと、A市の老人保健施設では、在宅介護困難者を引き受けていたことが明らかとなった。一方、介護保険制度の対象となっていない高齢者については安否確認・保護・支援作業が困難だったことが示唆された。災害弱者である高齢者の保護という観点からは、既存制度である介護保険制度によって構築された、行政、居宅介護支援専門員、施設や事業所との有機的連携が震災時に副次的効果をもたらしていたと考えられるが、一方で、制度に該当しない地域高齢者については安否確認や保護が困難であり、被災時における地域在住高齢者の公的制度によってもたらされる二重構造が明らかとなった。今後は、震災時の高齢者支援機能を促進する公民連携に関する研究が求められる。
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