現代社会では助け合いの重要性が高まっているが、一方で先行研究では、日本人を含め東アジア人は援助要請を抑制しやすいことも指摘されており、援助要請の規定因の検討は重要な課題である。そこで本研究は、「貢献感と援助要請傾向には正の関連があり、その関連は互恵性規範の主観的認識によって増幅調整される」という仮説を検証した。大学生の全般的な貢献感と互恵性規範を検討した研究1では、仮説は部分的な支持に留まった。しかし、一般成人における職場の対人関係についてインターネット調査で検討した研究2、および大学生の学内とアルバイトそれぞれの特定的対人関係について検討した研究3では、ともに仮説は基本的に支持された。
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