研究課題
平成27年度の研究実績の概要は以下の通りである。(1)平成25年度から開始したA県内の公立中学校のデータと、平成24年度に実施したB県内の大学生データを比較し、発達段階によって養育者認知に差があるか、および親と子の養育認知の共有について検討した。結果は、中学生時の受容や統制は、大学生の方が高いという結果が得られた。親子間の養育認知の共有は、中学生の方が大学生よりも相関が高いが、いずれの発達段階も弱い相関であった。(2)親子のペアデータを用いて、親の受容や統制といった養育態度が子どもの養育認知に影響することで、子どもの共感性や社会的情報処理を規定する、というプロセスモデルを検討した。結果は、養育者が社会化エージェントとして、protectionやcontrol機能を発揮し、子どもがそれを内在化することで、子どもの社会化(共感性や社会的情報処理)が達成されるという媒介課程が示唆された。(3)担任教師22名の指導スタイルを分類し、生徒の社会化指標に及ぼす影響を多面的に検討した。教師自身のリーダーシップ評定(配慮・厳しさ・指導・親近性)から、クラスター分析により、厳しさ優先群/高リーダーシップ群/非親近的指導群/親近的指導群の4群に分け、向社会性(共感的関心・他者視点取得・自己主張・自己抑制)と反社会性(認知的歪曲・一般攻撃信念・ルール適切性)を比較した。結果は、すべての指標でクラスター間に有意な差は認められなかった。(4)子どもの社会化に関わる機能を有する資源(親の養育態度、地域住民の関与性、友人関係、教師のリーダーシップなど)から、潜在的なクラスを構成し、子どもの向社会性や反社会性への影響を比較した。結果は、全エージェントの資源が高い得点の潜在クラスは向社会性得点が高く、反社会性得点が低かった。
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心理学研究
巻: 87 ページ: 印刷中
Japanese Journal of Applied Psychology
巻: 42 ページ: 印刷中