研究課題
子どもの言語獲得のためには、大人が言語や視線・指さしなどの非言語情報を使って伝えようとしている「意図」を子どもが知ることが重要であると考えられる。本研究では、1)子どもは大人の言語・非言語情報から意図をどのように読み取っているか、2)養育者は語の意味を教えるときにどのようにそれらの情報を提示しているか、3)自閉症児の支援活動に得られた知見をどのように生かすべきか、の3点について、実験・観察および支援活動を実施した。1)については定型発達児が指さし時の指の動きを見分けて部分名称推定を行えるかを調べ、最終年度では得られた知見を国際学術雑誌へ投稿した。定型発達児と自閉症児(ASD児)を対象とし実験を行った。結果、対面状況で実験を行った場合、指さしと視線の方向を統合して語意推測を行う傾向が定型発達児では高いが、ASD児では低い傾向があることが示唆された。最終年度では映像刺激提示時の注視データを注視点計測装置から取得し、現在も分析中である。これらの結果を国内外の学会で発表した。2)については養育者が部分名称を教えている場面のビデオ映像の分析を行い、事物の部分を教えるときと、事物の全体を教えるときでは、行動が異なることを明らかとした。特に事物の名称を教えるときはショウイング行動を、その部分を教えるときは、部分を際立たせる行動などを行っていた。最終年度ではこれらの知見について、心理モデルを構築し国際会議で発表を行った。3)については上の1,2の知見を臨床的に応用し、大学病院内における養育者カウンセリングや支援活動プログラムなどから成る発達障害児支援活動を推進した。最終年度では支援プログラムや養育者カウンセリングの成果に基づき、各家庭での養育者自身による活動を指導した。一定の向上が報告されたが、支援活動において向上させたスキルが、日常生活では汎化しにくいこと、特別な支援を養育者も必要とすることが示された。
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Conference Handbook of the 17th Annual International Conference of the Japanese Society for Language Sciences
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http://www.kobayashi-lab.rd.dendai.ac.jp/