研究課題/領域番号 |
24530797
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
西田 公昭 立正大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10237703)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 欺瞞的説得 / マインド・コントロール / 詐欺 / 悪質商法 |
研究概要 |
マインド・コントロール影響の被害実態の把握するため、破壊的カルトの脱会者ならびに悪質商法被害者が、どのような心理状態のときに、どのような場所で、どのようなアプローチや介入を受けたかを調査することが計画であった。そのために、個別面接調査を行うことを目標として掲げたが、悪質商法被害者の直接的なインタビュー対象者に接触することが予想以上に困難であった。 被害者面接は、健康食品被害に遭った1名は、詳細に聞き取りができた。また、カルト脱会者についても、1名については、かなり詳細な面接ができた。しかし、それ以上の対象確保は望めないと判断し、さまざまな詐欺被害者に対するマスメディアの記者らや公共機関などが行った面接データを提供してもらい、それらに対する心理学的な分析検討を行った。 その結果、ある破壊的カルトの元メンバーである対象者は、入信過程においては、情報コントロールによる隠ぺいは認められが、感情や行動の操作は見られない。しかしメンバーとしての活動においては、過酷な行動によって感情や意思決定を統制されていたといえた。また、振り込め詐欺や健康食品などの悪質商法の被害者は、権威性や恐怖アピールがうまく使われていたり、ヒューリスティックな思考に導くための焦燥感、社会的リアリティの構築などが認められた。 それらの分析とは別に、インターネット詐欺が急増している社会状況に対応しするべきとの判断から計画にはなかったが、大学生対象のインターネット行動の質問紙調査を行った。その調査によって、情報コントロールして接近する詐欺や悪質商法、カルト勧誘に対する学生のリスク行動を明らかにした。特に問題にしなくてはいけない行動は、SNSに対する無防備な行動、またメールなどによるDMに対する不用意な対処があることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
面接対象を得ることに困難があり、計画修正をせざるを得なかった点が認められる。また想定外の用向きが個人的に多かったため、予定以上に時間的な余裕がなかったこともある。しかしながら、同目的達成のため、あらたなる手法を取り入れることにより、必要な情報収集はおおむね成功しているとみなせる。その結果、マインド・コントロールからの防衛するために求められる心理的対処法の基本的な考え方や仮説は得られたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
マインド・コントロール影響に対する脆弱性・防衛スキル尺度の項目作成に入る。そのために、アクションリサーチ的な手法を検討したい。具体的には、これまで築きあげた協力関係から、公共機関、弁護士、マスメディアの関係者との連携をはかりながら、これらの研究をすすめるといった推進方策である。
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次年度の研究費の使用計画 |
・目的:心理尺度構成法に則って、これまでの研究成果(西田公昭,2009;西田公昭・秋山学, 2009)をもとにマインド・コントロール影響に対する脆弱性および防衛スキルを測定する質問項目を作成して調査を実施し、尺度項目の分析検討を行い、最終的には30項目以下で構成される多次元尺度を作成する。 ・対象者 大学生200名程度を2回程度予定する。 ・手続き 本研究者が担当している大学授業を用いて集合調査を実施し、信頼性係数、相関分析を通じて併存的妥当性の検討を行う。 ・質問項目の構成 ①マインド・コントロール影響力の各構造に対応する項目を約50~60項目(これらの構成のための予備調査を実施する準備もある)、②マインド・コントロール影響に関連すると考えられる態度や性格に関わる尺度を50項目程度 ・解析方法:因子分析法、分散分析、重回帰分析などを用いて検討する。
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