研究課題/領域番号 |
24530799
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研究機関 | 京都光華女子大学 |
研究代表者 |
石盛 真徳 京都光華女子大学, 人文学部, 准教授 (70340453)
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研究分担者 |
小杉 考司 山口大学, 教育学部, 准教授 (60452629)
清水 裕士 広島大学, 総合科学研究科, 助教 (60621604)
渡邊 太 大阪国際大学, 人間科学部, 講師 (80513142)
藤澤 隆史 福井大学, 学内共同利用施設等, 特命助教 (90434894)
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キーワード | 家族システム / パネル調査 / 社会的ネットワーク / ソシオン理論 / コミュニティ意識 |
研究概要 |
これまでシステムとしての家族の柔軟性・安定性については、社会心理学や臨床心理学等の分野で研究されてきたが、スナップショット的な一時点でのデータに基づく研究がほとんどであり、時間的な流れの中での、家族システムの変化について十分には捉えられていなかった。そこで本研究では,子育て期を終了する前後の家族システムの発達と移行を明らかにすることを研究目的として、家族成員全員が同居しており、かつ末子が高校生の4人家族の父親と母親を対象に調査を実施した。最終的に223組の夫婦(夫の平均年齢49.7歳、妻の平均年齢47.1歳)から有効な調査の回答が得られた。 測定した変数間の相関分析の結果、父親ではネットID登録数は、コミュニティ意識尺度の自己決定因子および夫婦間の問題対処方略尺度の回避因子との間でそれぞれ正の相関がみられた。一方、母親ではネットID登録数は、コミュニティ意識尺度の愛着因子、地域の熟知、地域のあいさつ・マナー、地域での参加交流、子供との会話、家族の共行動、家族のまとまり、家族の柔軟性、家族のコミュニケーション、および主観的幸福感とにそれぞれ正の相関がみられた。これらの結果から、父親ではネット利用の積極性はコミュニティでの住民の主体性を重視する意識や夫婦間での問題対処方略での回避という選択につながるのに対し、母親では、ネット利用の積極性は、家族内でのコミュニケーションや地域での活動における積極性と関連し、また主観的幸福感の高さとも関連していることが示されたといえる。 さらに,データの類似性をもとに家族のイメージを分類する方法としてSOMを用い,主体,客体の組み合わせを含んだ尺度評定値からサンプルの分類を試みた。分類の結果,子どもが配偶者にどのようなイメージを持っていると思うか,というところが分類に大きな影響を与えることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究実施計画で予定していた項目については実現することができたので,おおむね順調に進展していると判断した。具体的には,平成24年度に実施した第一回調査データの分析を実施し,その成果について日本心理学会第77回大会において2件の発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
26年度の学会発表に対して得られたコメントを受けて,第一回調査のデータのさらなる分析を進めたうえで,その追加分析の結果について,日本グループ・ダイナミックス学会において発表を行う。そして,追加分析に対するコメントも含めて,平成27年度に予定している第二回調査の質問紙の設計作業を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究代表者および研究分担者の助成金における端数については、翌年度分の助成金とあわせて有効活用することとした。 26年度の研究計画に従い、研究会の開催等に使用する計画である。
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