研究課題/領域番号 |
24530802
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
森尾 博昭 関西大学, 総合情報学部, 教授 (80361559)
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キーワード | CMC / ソーシャルネットワーク |
研究概要 |
現代の大学生における対人ネットワークの規定因として類似性が果たす役割を検討するためには、どのようなアプリケーションをどのような用途で用いているのかを理解する必要がある。具体的には、昨今のLINEの急速な普及と影響力の増大を検討するため、改めてLINEも含めた追加の調査を行った。この調査では、TwitterやMixi、Facebookといった今まで大学生にとって普及していたSNSに加え、LINEを加えた上で、その利用頻度と目的、パーソナリティとの関連を検討した。 2012年における調査と2013年における調査の比較では、MixiとFacebookの利用率が減少する一方で、TwitterとLINEの利用率が上昇しており、これは全国的な調査の結果と一致する。また、その他のサービスに比べ、Twitterでは匿名他者とのコミュニケーションの比率が高く、より開かれた対人関係の構築に用いられていた。Twitterの利用方法においては、既存の人間関係の維持・強化に用いる利用者と、不特定多数の他者への情報発信を利用者に分類することができることも示唆された。 このような現代における大学生によるSNSの利用方法の変化を踏まえて、リアルタイムでSNSにおけるコミュニケーションのログを取得するシステムの要件について改めて検討を行う必要が生じてきたと言える。特定のキーワードを軸としてTwitterにおけるコミュニケーションのログを一律にリアルタイムに収集するシステムではなく、ユーザーのクリークを同定した上で、リンクの推移を中長期的に観測するシステムの必要性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の開始時から現在までで、社会におけるインターネット・アプリケーションの利用形態が変化してきた。特にICTの進化に対応するのが相対的に早い大学生においては、SNSの利用方法が劇的に変化し続けている。スマートフォンとLINEの普及は、大学生の日常生活における人間関係を大きく規定しているともいえる存在であり、CMCにおける対人影響過程を検討する上で無視することのできない存在である。 当初の予定ではTwitterに焦点を当てて、ログ解析を通じて社会的態度の変容について検討していく予定であったが、特に人間関係の構築・維持をも研究対象とすることにより、本研究の目的であるCMCにおけるダイナミック社会的インパクト理論の検証をより精密に行うことができると考え、システムの要件の再検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
本来は大学生の社会生活において支配的な位置を占めているサービスであるLINEを対象に分析を行うべきであるが、LINEにおけるコミュニケーションはそのログが収集できないため、Twitterにおける分析を継続する。ただし、Twitterにおいても、マイクロブログと呼ばれた不特定多数の他者への情報発信が主目的であった時期の利用方法から、クローズドな利用者のクリークを対象としたカジュアルなコミュニケーションツールへと変化しつつあることを踏まえ、利用者のクリークを同定した上でコミュニケーション・ログを収集するシステムの構築を目指していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
構築するべきデータ収集システムの要件を再検討し、構築そのものが次年度へと繰り越されたため。 改めて再検討した用件に基づいてデータ収集システムを構築する。
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