研究課題/領域番号 |
24530804
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
柳澤 さおり 中村学園大学, 流通科学部, 准教授 (00341397)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 人事評価面談 |
研究概要 |
研究の目的は、(1)「人事評価の活用に関わる心理状態とそれに個人要因と環境要因が及ぼす影響」、「人事評価の活用方法と学習やパフォーマンスとの関係」を明らかにし、組織メンバーの人事評価の活用プロセスのモデルを構築すること、および(2)このモデルを基に、人事評価の育成ツールとしての効果的運用について明らかにすることである。 平成25年度は、第一に人事評価制度の運用に関わっている人事担当者、組織の一般メンバー、管理者に対してインタビュー調査を行うこと計画を策定していた。インタビューの内容は、人事評価の活用と最も関係が強いと考えられる人事評価面談に的を絞り、評価対象者の満足感やフィードバックの有用性の認知につながる効果的な評価面談の内容と面談の進め方について、インタビュー調査をもとに探索的に検討した。インタビューの内容は、過去に経験した人事評価の面談において、満足感の高かった面談、自分の今後のキャリアや職務遂行に役立つと感じた面談、あるいはその逆の面談を思い出していただき、それらの面談内容や上司の伝え方などについて尋ねるものであった。このインタビュー調査の分析の結果、評価面談には評価対象者の学習やパフォーマンスにつながる心理状態を引き起こすことが示唆された。 また第二に、評価面談があることによって、評価者が評価対象者のパフォーマンス情報を処理し、評価を下す際にどのような影響がみられるかについて調べるために実験を行った。評価面談があることによって、評価者は評価対象者に関わる情報処理量を増やすことが示された。 上記の研究によって、人事評価の活用には、評価面談が重要な鍵を握る可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インタビュー調査に協力していただく企業を比較的早い段階で見つけることができたため、おおむね順調に研究が進展した。また、公開されている当該研究課題に関するレビュー論文を読んだ人事関連の研究所の方が、研究に興味を持って下さっているので、そちらを通じても、研究を進めたいと考えている。 平成25年の1月から産休と育休を取得していたため、研究の進展に関しては、若干の遅れがある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、引き続き人事担当者、組織メンバーや管理者に対するインタビューを行い、結果をまとめる。 また、(1)過去の研究、およびインタビュー調査の結果をもとにして、大学生を対象に、フィードバック情報の活用がその後の学習活動やパフォーマンスに及ぼす影響について調べる実験室実験の計画を策定し、実施すること、および(2)実験の結果をもとに、人事評価の活用尺度を修正し、この尺度を含むアンケートを実施する。個人レベル(個人特性や人事評価の活用など)、集団レベル(人事評価に関わるリーダーの行動特徴など)、組織レベル(人事評価制度)の質問項目に対して、組織メンバーに回答してもらうこと、を予定している。 今後の研究の進め方は上記のとおりであるが、7月まで育児休暇を取得しているので、計画通りに研究が進められない可能性があると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)研究準備および最新の研究動向の把握のため、海外学術雑誌、人事心理学、産業・組織心理学、人的資源管理の専門書を購読すること、(2)収集したデータの処理や整理にあたって、必要なソフトを購入することや謝金を支払うこと、(3)研究成果発表やインタビューのために、対象企業の所在地に出張する、(4)英語論文の投稿のために、論文校閲への謝金を支払うこと、を予定している。
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