平成28年度の研究実績は、調査と実験の実施、データ分析、論文作成であった。 人事評価面談の特徴を調べる尺度の調査を前年度に引き続き行った。複数の企業からサンプルを集める形式による調査を実施し、データ収集が終了した。得られたデータに対して、構造方程式モデリングを用いた分析を行った。その結果、「部下の仕事に関わる上司の知識」、「現状と目標状態の明確化」、「上司による面談参加の促進」が、部下の「現状と目標状態の把握」を媒介して、「評価面談の有用性」、「評価面談の満足感」に影響することが示された。また、「部下の仕事に関わる上司の知識」、「上司による面談参加の促進」は、部下の「上司との間の相互理解への満足感」を媒介して、「評価面談の有用性」、「評価面談の満足感」に影響することが明らかになった。さらに、面談における上司の「役割外活動についての話題提供」が、部下の「役割定義の変化」に影響することが示された。 実験については、面談におけるパフォーマンスフィードバックの際に、上司による部下のパフォーマンスの原因帰属(内的・外的)と面談の枠組み(過去注目・将来注目)が、面談の有用性と満足感、次の課題へのモチベーションに及ぼす影響について検討した。その結果、面談の枠組みが、次期課題へのモチベーションに影響を及ぼすことが示された。 目標設定時の面談における管理者の行動と、組織メンバーの目標コミットメント、目標達成行動との関係に関して検討した論文が、Japanese Psychological Researchに掲載された。
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