最終年度は,研究3「子どものゆらぎに関する大人の発達的理解の検討」に関して,学会発表等で成果を公表した。特に,小学1年生のつぶやきをどのように認識するのかという点について,大学生と教員,小学校教諭と保育者を比較し,その違いを明らかにした。現在,学会発表をさらに論文としてまとめているところである。 研究代表者は,家庭における子どものつぶやきを保護者に記入してもらい,つぶやきの中にみられる認識のゆらぎについても分析をおこなった。子どもの何気ないつぶやきの中にも認識のゆらぎを見て取れることができた。現在は,年長の終わりから小学校入学後のつぶやきについて分析中である。 研究期間全体を通して,研究1の「幼児の観察データ」の収集については,代表者,分担者ともにおこなっているが,論文という形にはまだまとめられていない。現在,お互いの観察を記録をもとに議論を継続しておこなっている。このデータを分析することによって,子どもの論理的思考と直観的思考のモデルの原型を提示できると考えている。 山梨大学附属幼稚園の実践事例を,検討し,論文として公刊することができた。特に実践者と私たちが議論する過程で,子どものゆらぎに関してお互いが気づかなかった点,例えば,お金に関する認識や,想像上の人物に関する認識からのゆらぎについて,有意義な議論を重ねることができた。 最後に研究2に関して,小学生を対象にしたゆらぎの調査については不十分であった。研究期間は終了しているが,引き続き,研究はおこなっていく。
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