研究課題/領域番号 |
24530811
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
岡田 努 金沢大学, 人間科学系, 教授 (10233339)
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キーワード | ふれ合い恐怖 / 対人恐怖 / 青年期 / インターネット調査 |
研究概要 |
「ふれ合い恐怖的心性」尺度の妥当性を確認するため,不安を感じる場面に関する尺度項目を整備した。 研究1予備調査 大学生に対して,日常経験する対人場面での不安を感じる場面について自由記述で尋ねた。評定には独立行政法人メディア教育開発センターが開発したリアルタイム評価支援システムを用いた。 本調査 マクロミル社によるクローズド型インターネット調査を利用した。実施時期2013年7月。回答者 国内各県の4年制大学学生および卒業者206名。質問項目1)不安場面項目 岡田(2002)に予備調査に基づいて作成した4項目を加えた40項目の対人場面について,安心度を尋ねた。2)ふれ合い恐怖的心性尺度 「関係調整不全」「対人退却」の下位尺度から成る。3)対人関係尺度 一般健常者における対人恐怖的心性に関する尺度。4)友人関係における傷つけ合い尺度5)現代青年の友人関係に関する尺度から「軽躁的関係」下位尺度。不安場面尺度の分析にあたっては「そのような場面は経験がない」項目を欠損値扱いとするため,SPSSMissingValueオプションを新たに使用し,多重代入法を用いて欠損値の推定を行った。因子分析を行い他の尺度得点との関係を求め「関係調整不全」感がよりふれ合い恐怖の本質であり,「対人退却」はその結果として生じたものであることを考察した。本結果は日本社会心理学会第54回大会において発表された。 研究2 研究1は,インターネット調査によって回答を求めたものであり,従来型調査との比較を行うことが必要となる。よって同様の項目について従来型調査を行い比較を行った。調査対象 首都圏,近畿,北陸の4年制大学学部学生1から4年生 実施時期 2013年12月から2014年2月。本結果は現在研究1との結果と併せて分析中であり,日本社会心理学会第55回大会において発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画ではインターネット調査を導入することは想定されていなかったが,その後の検討によって,より幅広い地域の対象者からのデータ収集のためには優れた方法であることが見いだされたため,これを導入することとなった。 そのため,従来型調査との比較プロセスを行うこととなった。 しかしながら,ふれ合い恐怖的心性尺度の再整備とその心性の構造を明らかにするという計画段階そのものはおおむね計画通りすすんでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
より低い年代でのふれ合い恐怖的心性尺度の適用については,本心性がそもそも大学生期を想定していたため,その是非も含め再度検討を行う。 友人関係上での傷つきやすさおよび適応との関連についてモデルを吟味し,研究全体の目的である,現代青年の脆弱性の構造を明らかにするための研究の統合に向け,モデルの調整とデータ収集を行う予定である。 具体的には,本年度までの研究で用いられたインターネット調査を利用し,2012年度の研究で実施された「ランチメイト症候群」傾向との統合したモデルを完成させることを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品の購入価格について購入時点で末尾の額までは分からないため,多少の余裕をもって発注する必要があったために生じた誤差である。 学会参加のための旅費の中で有効に利用したい。
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