ふれ合い恐怖的心性に関する尺度の整備を目的として2014年度までに続けてきた大学生のデータに加え,2015年度は高校生のデータを収集した。 回答者 日本国内に在住する高校生206名 実施尺度 場面不安尺度再構成版,ふれ合い恐怖尺度,対人関係尺度(対人恐怖的心性を測るもの),友人関係において傷つけ合うことを避ける尺度および軽躁的関係下位尺度などである。 調査方法 インターネット調査業者に依頼しモニター登録している高校生に調査を実施した。 本データに基づいて現在大学生データとの比較検討のための分析を実施中である。すなわち,大学生においては,場面不安尺度とふれ合い恐怖的心性各下位尺度の関連から,先行研究と同様,対人退却下位尺度の有効性が示される一方,関係調整不全下位尺度の有効性については,十分な検証がなされなかった。今回高校生の調査結果と比較することによって,こうした対人恐怖,ふれ合い恐怖に関わる様相について,発達的な変化があるかどうかを知ることが可能となる。これらの結果について本年度の学会発表を予定している。 また,本研究の中心となる年代である「青年期」の発達区分を見直す流れが国際的に広まりだしている。自己の安定性がどのような発達的経緯をとって変容するかは,青年の適応と深く関わる問題であることから,この点について昨年度までに大学生に対するデータを収集した結果を日本心理学会第79回大会において研究発表を行った。
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