研究課題
<発達障害児の早期発見>2014年度は、2013年度に引き続き26名の超低出生体重児(平均8歳)を対象に、WISC-4により認知能力、ASSQ並びにSCQにより自閉症スペクトラム障害(ASD)、ADHD-RS-4によりADHD、LDI-RによりLDの評価を行った。さらに19名には、K-ABC,読み能力の検査と視線行動の測定、音韻・実行機能・注意機能検査などを実施し、聴覚的・視覚的情報処理の特性を調べた。ASDの出現率は昨年度の対象児と合わせて38名中4名(10.5%)に上った。ASD4名中2名に加えてADHD1名が個別療育を希望し、大学の相談室で療育を実施している。過去のデータと合わせて初期徴候を正期産のASD児104名と比較したところ、「視線」「子どもへの興味」「特定の知識への没頭」などのエピソードの出現率はELBW児の方が低かったが、これまでの分析から1歳半の時点ではASDをもつELBW児にも共同注意の能力の発達に遅れが見られるという共通点も認められた。<ASD児の早期介入>2013年度に引き続き、2014年度はELBW児を含め新たに6名に個別療育を実施した。1人当たり約20回の個別療育を計画し、PECSのPhase1~3の訓練により、絵カードによる自発的要求が可能になった。また、2013年度に個別療育に参加した5名を対象にFollow-up療育 (計5回) を実施した。PECSのPhase4の訓練により、絵カードによる二語文の要求を獲得した。また、絵カードによる二語文構成の要求と並行して発話による要求を促し、5名中3名が「○○ちょうだい」という発話を絵カードによる要求と併用して見せるようになった。PECSによる自発的コミュニケーションの訓練はASD児の対人意識を高め、単に自発的要求が増えるだけでなく、言語によるコミュニケーションの基盤となる共同注意の開始行動(IJA)や応答行動(RJA)の増加を引き起こすことが示され、ASDをもつELBW児にとっても極めて有望な早期介入の方法として注目される。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (9件)
International Journal of Psychology and Behavioral Sciences
巻: 5 ページ: 62-70
10.5923/j.ijpbs.20150502.03
日本コミュニケーション障害学会誌
巻: 32 ページ: 印刷中
日本周産期・新生児医学会雑誌
巻: 50 ページ: 105-109
Acta Paediatrica
巻: 104(2) ページ: e82- e89
10.1111/apa.12854
Archives of Disease in Childhood: Fetal and Neonatal Edition.
巻: 0 ページ: F1-F6
10.1136/archdischild-2014-306931