研究課題/領域番号 |
24530817
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
水野 治久 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (80282937)
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研究分担者 |
戸田 有一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70243376)
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キーワード | 被援助志向性 / 援助要請 / 学級経営 / Q-U |
研究概要 |
平成25年度は児童の教師に対する被援助志向性,学級の他の子どもに対する被援助志向性が子どもの学級適応にどのような影響を及ぼしているのか明らかにするために小学校4年生から6年生353名を対象に質問紙調査を行った。分析は欠損値が認められない312票を対象に行った。教師に対する被援助志向性は9項目中,5項目で天井効果が認められ,尺度として子どもの被援助志向性を測定できない可能性がうかがえた。そこで,友人に対する被援助志向性のみを分析することとし,平成24年度に調査したデータと合併し,欠損値のない787名のデータで分析することとした。なお,787名の調査票のうち,平成24年度に回収したデータは,475票,平成25年度に回収したデータは312票である。 教師に対する被援助志向性の分析は叶わなかったが,子どもに対する被援助志向性についてより高い精度の分析が可能になった。モデルを構築し共分散構造分析でその適合度を検証した。独立変数は,ソーシャルスキルの配慮スキル,かかわりスキル(Hyper Q-U,河村,図書文化社),媒介変数としてスクールモラールの学習,学級,友人(Hyper Q-U),友人に対する被援助志向性尺度,従属変数として,Hyper Q-Uの承認尺度,被侵害尺度を設定した。被侵害尺度は因子分析され,「顕在性攻撃被害」,「関係性攻撃被害」の2因子が抽出された。 分析の結果,承認得点に関してはスクールモラールの学級や友人が承認得点に影響を及ぼしたが,「顕在性攻撃被害」では,友人に対する被援助志向性が有意な-.21の影響を及ぼしていた。更に,「関係性攻撃被害」では,友人に対する被援助志向性が-.23の影響を及ぼしていた。このことから,学級におけるいじめの攻撃被害には友人に対する被援助志向性が影響を及ぼしていることが確認された。被援助志向性の重要性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回,教師に対する被援助志向性についえは天井効果が確認され分析に加えることはできなかったが,今年度は,教師側のフィールドとして三重県桑名市教育委員会と折衝し,全面的協力が得られることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,三重県桑名市教育委員会の全面的な協力のもと,教師を対象に小学校5年生の担任教師を対象に調査を行う予定である。更に,その学級の子どもの適応度も検討する。そして,子どもの被援助志向性がどのように子どもの適応に影響するのかについて検討していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年中に,三重県桑名市教育委員会との研究連携ができる見通しがついたため,一部の研究資金を次年度に繰り越すことにした。 平成26年度は三重県桑名市との連携のもと,「よりよい学校生活と友達づくりのためのアンケート」(Hyper Q-U)を235名分追加発注する(単価,440円×235名=103,400円)。
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