研究課題/領域番号 |
24530826
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
富田 英司 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (90404011)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 協同的パブリックトーク / 国際交流 / 留学 / 大学生 / コミュニケーション能力 / 米国との国際情報交換 |
研究概要 |
平成24年度の研究対象は愛媛大学とルイジアナ大学モンロー校との学術交流協定によって実施された約2週間のショートビジットへの参加者7名と1年未満の短期留学学生2名であった.前者については参与観察と質問紙(2013年3月),後者については2回の面接をおこなった(2012年10月,2013年3月).成果は以下の通りである. 1.対話の領域と対象の測定:質問紙によって,国際交流時における各学生の対話の質を測定する方法を開発した.これを用いた調査によって,ショートビジット滞在中の相互作用の質が高い学生は,状況にあわせた表現方法の工夫の重要性を認識していることが示唆された.そのためは,ある程度会話を継続できるだけの英語力を備えておくことが前提となる.この知見の妥当性を確認するには今後多くのデータ収集を必要とするが,このことが明らかにされれば,この手法によって得られたデータを学生の学びの質を評価する指標として利用することが可能になる. 2.CPT力量形成過程の観察:交換留学生2名を対象にした分析によって海外生活を通したコミュニケーション観の変化を検討した.2名は滞在後7か月で米国人学生のコミュニケーションにおける(1)探索的性質,(2)議論管理能力の高さ,(3)議論過程の共有などを発見している.この背景には,コミュニティ内部での活動への参与の程度を深めることに2人が成功していることが関係していると考えられる.このことはCPT力量形成過程の解明に寄与する. 3. そのほか:(1)日米の大学生に対して質問紙調査を実施し,留学を促進/阻害要因について探索した.日本人学生は対人指向が強く新しい学びを求めているのに対して,米国人学生は習ったことを活かす機会を求めていること等が分かった.(2)海外での大学院生活を通して日本の幼稚園教諭が自己目標を再定義していくプロセスを面接によって明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたように,研究の前提となる米国大学との国際交流が実施された.フィールドワーク,質問紙調査ともに予定していたものと同水準以上のことが実施できた.当初,議論過程の録画を想定していたが,実際には,教室での大学生のコミュニケーション場面を録画することに変更した.このような詳細な変更なあったものの,本年度必要なデータ収集がおおむね順調に進んでいると言える.
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今後の研究の推進方策 |
ほぼ当初の予定通りに研究が進んでいるため,平成25年度以降も研究計画書にほぼ従った形で研究を進めることを見込んでいる.平成25年度については,ショートビジットに4名の学生が参加し,交換留学生として1名が新しく約1年間アメリカに渡航する.彼らが研究対象となる.さらに,交換留学から帰ってくる予定の2名についても,帰国後も引き続き継続的に調査への協力依頼をおこない,協同的パブリックトークに与える短期留学の効果に関して継続的にデータ収集・分析を進める.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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