研究課題/領域番号 |
24530826
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
富田 英司 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (90404011)
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キーワード | 協同的パブリックトーク / 国際交流 / 留学 / 大学生 / コミュニケーション能力 |
研究概要 |
平成25年度からの2年間は,協同的パブリック・トーク(CPT)の力量を積極的に促進するための介入方法を,教育実践への取り組みと併行して開発することが計画されている. 平成25年度の取り組みでは,この計画に従って,アメリカ合衆国にあるルイジアナ大学モンロー校へと渡航し,約2週間の教育文化視察に参加した4名の教員志望学生を対象に,CPT育成のために事前練習とルーブリックを用いたリフレクションによる教育的介入を実施した.この教育文化視察プログラムは,地球的視野を備えた教員の養成を目的として実施されている.渡航中,参加学生は小学校や中学校,孤児院や大学等,複数の教育施設を訪問して,現地の子ども達や学生らに英語で日本文化について紹介する20分間ほどのプレゼンテーションを複数回実施する.平成25年度は合計4回のプレゼンテーションを実施した.渡航に先立って,日本では3回の練習機会を設定した.練習機会と実際のプレゼンテーションが行われた後,毎回リフレクションの機会が設けられ,改善のためのフィードバックが行われた.渡米直前,プレゼンテーション実践を自己評価するためのルーブリックと毎日のコミュニケーション活動に関するリフレクションのためのワークシートが学生に配布された.帰国後,個別に面接が実施され,参加学生個人が知覚するコミュニケーションの改善ポイントとその改善理由が尋ねられた.CPTの力量を測定するための観点の1つとして,「枠組みを作る説明」という概念を独自に考案し,採用した。「枠組みを作る説明」とは,相手がどんな知識・期待を持ち合わせて聞いているかを理解し,それに応じて説明内容やアクションを調節する行為が含まれている説明である.目下,以上のような研究対象と理論的枠組みを用いて,今回の短期海外渡航プログラムを通じたCPTの改善の程度を特定しつつある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,国際交流を通した学生のコミュニケーション能力育成を目標とした教育活動に関する実践研究である.したがって,教育実践としての国際交流が順調に継続していることがあらゆる研究の前提となる.本研究の対象となっている国際交流プログラムは平成24年度に続いて,平成25年度もプログラムが効果的に実施することができた.また,平成26年度についても,今年度同様に実施することができる見込みである. 交付申請書に記載した研究目標で設定されたとおり,平成25年度より介入プログラムを実施することができた.具体的には自己改善用のルーブリック,海外渡航前後の事前事後指導の枠組み,プレゼンテーションを行動レベルで評価するための規準等を主に開発することができた.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度における前半の具体的な行動目標は,平成25年度に実施したプログラムに参加した学生がどのようにプレゼンテーション能力を高めたか,パフォーマンス分析をおこなって明らかにすることとする.この分析結果に基づいて,平成26年度に実施する国際交流プログラムで採用する教育介入プログラムを策定する. 研究計画の時点には含まれていなかったが,文献研究を進める中で,海外プログラム参加者に見られる動機付けや自己概念の変容過程を捉えるための研究手法として会話分析が特にふさわしいアプローチであることが判明してきた.平成26年度では,本研究の中で実施されたインタビューのデータを分析するために,会話分析を活用する方向で準備を進めている.
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