研究課題/領域番号 |
24530832
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
福島 朋子 岩手県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (10285687)
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キーワード | 生涯発達心理学 / 子どものいない夫婦 / generativity / intimacy / エリクソン |
研究概要 |
成人期発達において親になることの意義を探索する研究は多い。その反面、親にならなかった成人の発達を把握しようとする研究はほとんどみられない。本研究は、子どもがいない場合であっても世代継承的な(generative)意識や行動は生じうると考え、「子どものいない夫婦」を対象に調査を行ってそれを確認しようとするものである。2013年度は、まず12年度に引き続き、子どもを持つことを許されなかったハンセン病元患者に関して、これまでの資料を再分析し、聞き取り調査を実施した。その結果、新たに代償的な子育て行動が明らかになった。すなわち、ハンセン病療養所入所者が退所者の子どもの進学費用を支援したり、入所者と近親にある者(子どもを含む)の面倒を退所者がみる、というような事例が確認された。こうした代償的な子育て行動に対する入所者の要望は、2012年に国立療養所多磨全生園や菊池恵楓園に併設された保育園の設置や、11年の東日本大震災の被災児童を療養所内に招待している自治会の活動などにも垣間見ることができる。このほか、ハンセン病元患者以外の、子どものいない夫婦に対する聞き取りを試行的に行い、2014年度の本格的調査へ向けての準備を行った。その結果、調査内容の一部は面接では答えにくいこと、予想よりも夫婦そろっての面接は難しいことなどの課題が明らかになり、調査方法に質問紙法を付け加えるなど、一部変更の可能性を検討することとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要でもわかるように、ハンセン病元患者に関する調査はおおむね順調に進展していると思われる。しかし、一般的な子どものいない夫婦に関する調査については、面接を実施する上での課題が明らかになり、調査方法の一部変更をせざるを得ない状況となっている。以上から、やや遅れていると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は調査方法に質問紙法を加えるための検討を推し進め、準備ができ次第、調査を遂行することとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究代表者は2014年1月に骨折し、2ヶ月間の病気休暇を取ることとなり、当初計画を遂行することが不可能となったため。 2013年度に実施する予定であった調査や資料収集のための、出張経費とする計画である。
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