研究課題/領域番号 |
24530834
|
研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
高垣 マユミ 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (50350567)
|
研究分担者 |
田爪 宏二 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (20310865)
清水 誠 埼玉大学, 教育学部, 教授 (30292634)
白水 始 国立教育政策研究所, その他部局等, 研究員 (60333168)
中西 良文 三重大学, 教育学部, 准教授 (70351228)
|
キーワード | 学習環境 / 教授法 / 科学的創造力 / 協調学習 |
研究概要 |
遺伝子の研究は近年目覚ましく、その応用であるバイオテクノロジーへの期待は高まる一方であり、21世紀の産業にとっても重要なものである。しかし、非常に微視的な分子の働きであり先端技術は複雑化しているため、生徒たちは、こうした内容に関心はあるものの、実際にどのようなことが行われ、どのような将来性がそこにあるのかについての理解が困難な状態にある。そこで、平成25年度は、高等学校生物「遺伝子情報とその発現」の単元を研究対象とすることとし、理論的側面から提起する大学教員と実践的側面から吟味する中学校・高等学校の教員とがプロジェクトを組み、「認知的/社会的文脈を統合した学習環境の開発と次世代型理科カリキュラムへの適用」に着手した。大学教員と研究協力校の中学校・高等学校の教員とが連携してプロジェクト会議を積み重ね、学習指導要領改訂の全面実施に伴いコア概念となった「エネルギー・粒子・生命・地球」の内の、「生命」の学習内容に焦点を当てて学習環境を開発した。具体的には、認知的文脈における学習環境としては、生徒達の身近な生活体験を活用しながら、分子レベルでDNAの構造、複製やmRNAへの転写、タンパク質への翻訳のしくみを理解するためのカリキュラム、学習素材、実験・観察方法を開発した。社会的文脈における学習環境としては、バイオテクノロジーの現在とその将来性を考えさせる一方、リスクとして生態系を乱し、地球環境に取り返しがつかなくなる危険性を含むことも考えさせることを目指し、科学的創造力を向上させる協調学習を促す、IT技術や情報端末を導入するシステムを開発した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、大学教員と研究協力校の中学校・高等学校の教員とが連携してプロジェクト会議及び研究授業を、計20回開催して議論を重ね、教育現場で理解が困難であると報告されている「微視的現象」を扱う、高等学校生物「遺伝子情報とその発現」の実証授業を実施することができた。具体的には、科学的創造力を向上させるカリキュラム、学習素材、実験・観察方法を開発することができた。さらに、学校教育場面にIT技術や情報端末を新たに導入するシステムを開発し、小集団内での対話や探求のメディアとしてタブレット端末による作図や文字を入力・描画後、構築した説明モデルをクラウドサービスにより共有し、電子黒板によってクラス全体の議論の場で提示することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度に実施した、高等学校生物「遺伝子情報とその発現」の授業における、生徒の実態調査・形成的テスト・事後テストを比較検討する。具体的には、生徒の記述したノートをタブレットのシステム及びドキュメントスキャナを活用して記録し、電子データ化を行う。なお、全時間の授業をVTRとデジタルボイスレコーダーで記録し、量的及び質的な評価データを収集する。授業過程の学習者の発話や相互作用、実験・観察時の行動の観察記録及びトランスクリプトに基づき、解釈的分析を行う。これらの膨大なデータの分析に基づき、教授効果を査定する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当研究分担者において、その本務および研究業務の多忙に付き、本科研作業を十分に進めることができず、研究費を使用しなかった。次年度から、次期学習指導要領改訂に向けた作業が本格化するため、それとも連動して本研究作業を遂行する。 カリキュラムや学習全般に関する書籍他の購入 20万円 その他郵送費など雑費 10万円
|