研究課題/領域番号 |
24530835
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
都筑 学 中央大学, 文学部, 教授 (90149477)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 時間的展望 / ジェネラティビティ / 成人期 |
研究概要 |
本研究では、成人が他の世代の人々との交流活動を通して、彼らの時間的展望を再編成する過程に焦点を当てて検討する。質問紙調査で得られた実証的データの分析によって、世代性(ジェネラティビティ)の発達が時間的展望に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。 4年間の研究の初年度である本年度は、今後の研究を実施していくために必要不可欠な新たな尺度を作成することを主要な目的としていた。従来の研究において、成人期の時間的展望を測定する尺度としては白井(1997)があり、世代性(ジェネラティビティ)を測定する尺度としては丸島(2009)や串崎(2005)がある。そうした尺度を含めて、成人期の世代性(ジェネラティビティ)や時間的展望を測定している既存の尺度を収集するところから研究を開始した。同時に、エリクソンが述べている相互性の概念や、最近研究されるようになってきた世代間交流の概念にも注目し、それらに関連する文献資料を収集した。次年度以降には、教師や親を対象とした調査研究も計画しているので、教師や親の成長に関連するような文献資料も併せて収集した。 世代性(ジェネラティビティ)と時間的展望に関係する資料を一定程度収集することができたので、それらの文献資料から得られた項目案にもとづいて、実際の調査で使用する質問紙尺度の原案を作成する作業に取りかかった。資料収集に当初予定した以上の時間を要したために、本年度の達成状況は、質問紙尺度原案の作成に止まった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、成人期における世代性(ジェネラティビティ)と時間的展望の尺度原案を作成する段階まで達成できたが、実際に質問紙調査を実施する所までには至らなかった。研究実績の概要でも述べたとおり、尺度項目を選択するための文献資料の収集に思いの他の時間を要したことが、研究の遅れを生じた主要な原因である。ただし、その遅れは次年度以降の着実な研究遂行によって回復することができる範囲のものであると考えられる。今後は本研究課題への注力を増すことによって、確実に研究計画を遂行していきたいと考える。
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今後の研究の推進方策 |
第1の目的は、昨年度作成された世代性(ジェネラティビティ)と時間的展望の項目群から構成される質問紙原案をもとに調査を実施し、信頼性と妥当性の検討をおこなって、尺度作成をおこなうことである。 第2の目的は、上記の手順をふまえて作成された世代性(ジェネラティビティ)と時間的展望の質問紙を使用して、教師を対象とした質問紙調査を実施し、世代性と時間的展望の相互連関を検討することである。 得られた調査結果については、迅速に分析して、学会発表や論文発表に繋げていく。 また、世代性(ジェネラティビティ)と時間的展望との相互連関についての理論的な考察に関しても、今後の研究をまとめていく上では重要なポイントとなるので、エリクソンを初めとした生涯発達心理学や社会教育学の研究成果について十分に学習・検討し、理論枠組みを強固なものにしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
主要な研究費は、質問紙調査の実施に際しての印刷費・郵送費ならびに調査協力者に対する謝金である。本年度は質問紙調査の実施に至らなかったために研究費を次年度に繰り越すことになったが、質問紙調査を計画通り実施していけば、研究費は計画通り使用されることになる。
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