近年の学校現場において一斉指導の授業や活動の展開が難しいという問題、文部科学省が指摘する「学級がうまく機能しない状況」に対して、その背景に教師が一斉指導を行う基盤となる教育・学習環境である学級集団を良好に形成することができないという問題が考えられる。本研究は、生徒の対人交流・集団活動意欲、学習意欲、進路意識と学級集団の状態との関係を実証的に明らかにし、学級集団発達の視点から、これらの意欲を向上させる学級集団の状態と、その形成モデルを提案することである。本年度は、平成24年度、25年度に蓄積したデータを基に、研究テーマについてのまとめを計画通り進めることができた。内容は下記の通りである。(1)平成24年度、25年度に明らかになった、生徒の対人交流・集団活動意欲、学習意欲、進路意識を向上させる学級集団形成の仮説モデルについて量的・質的に検討を行い、その妥当性を実証することができた。(2)教員組織への所属意識を測定する尺度との関連について実証することができた。(3)3年間の研究成果を学術雑誌に掲載することができた。 本研究の成果によって、一斉指導の授業や活動の展開が難しいという近年の学校現場の問題に対して、教師が一斉指導を行う基盤となる教育・学習環境である学級集団の形成を効果的に展開するモデルが示され、文部科学省が指摘する「学級がうまく機能しない状況」を予防することができ、学校現場の教育実践の向上に寄与する一助となると思われる。
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