研究課題/領域番号 |
24530838
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岐阜聖徳学園大学 |
研究代表者 |
安藤 史高 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 准教授 (70390036)
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研究分担者 |
小平 英志 日本福祉大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (00442228)
布施 光代 明星大学, 教育学部, 准教授 (10454331)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 積極的授業参加行動 / 児童 / 社会的・人格的発達 |
研究概要 |
我々は,児童にみられる授業への積極的な参加行動を「積極的授業参加行動」とし,「注視・傾聴」,「挙手・発言」,「宿題・準備」の3 つを抽出したうえで,その様相や加齢に伴う変化を検討してきた(布施・小平・安藤,2006など)。 積極的授業参加行動と動機づけの関連について自己決定理論( Ryan & Deci, 2000)に基づいて調査を行った(安藤・布施・小平,2008)ところ,「注視・傾聴」と「準備・宿題」は,自律性の高い外発的動機づけ(高自律的外発的動機づけ),内発的動機づけのいずれとも関連をしていた。一方,「挙手・発言」は内発的動機づけとは関連していたが,高自律的外発的動機づけとの関連はほとんど見られなかった。このことから,高自律的外発的動機づけを持っており,「注視・傾聴」を行うものの「挙手・発言」を行わないという児童がいることが示唆された。 このことから,積極的授業参加行動を促進するためには,動機づけ要因以外の規定因についても検討を進める必要があると考えられる。そこで,本研究では動機づけ要因以外の社会的・人格的な要因が積極的授業参加行動に及ぼす影響について検討する。まず,どのような社会的・人格的要因が積極的授業参加行動に影響するのかについて検討する。さらに,それらの社会的・人格的要因の発達的な変化と,積極的授業参加行動の変化との関連について明らかにする。そのために,社会的・人格的要因と積極的授業参加行動の変化に関して縦断的に調査を実施する。 本研究により,児童の学習行動のより深い理解のみならず,クラス内での人間関係や学級経営といった教師の指導に関しても有効な知見を提供することができると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24 年度には,積極的授業参加行動に影響する社会的・人格的な要因を明らかとすることを目指し,小学校教師や大学生に対して調査を実施し,積極的授業参加行動に影響する社会的・人格的な要因について探索を進める計画であった。具体的には,現職の小学校教員に対して,個別面接や自由記述形式の質問紙調査を行うことで,積極的授業参加行動に影響する社会的・人格的要因を探索的に検討する。また,教職を志望する大学生・大学院生に対しても調査を実施し,現職教員との比較を行うことを予定していた。 現時点では,小学校教員に対する面接調査の内容を決定し,調査を継続している。また,教職を志望する大学生・大学院生を対象とした研究については,小学校教員の面接調査の結果をもとに,内容を検討中である。 多忙な小学校教員を対象にある程度の時間を要する面接調査を実施しているため,面接日時の調整や調査協力の同意を得ることに計画よりも時間がかかっている。また,大学生・大学院生に関しては,小学校教員への面接調査を踏まえて調査内容の再検討を行ったため,実施に至ってない。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度には,まず24年度に未達であった研究計画の達成を行う。小学校教員対象の面接調査については一部を実施済みであり,今後も継続して実施の予定である。しかし,実施の遅延の要因であった面接時期の調整については,今後もある程度の時間が必要であると考えられる。 教職を志望する大学生・大学院生を対象とする調査は,ある程度の面接データが収集された時点で内容の再検討を行い,教員に対する面接調査と並行して実施する予定である。 加えて,当初の計画にあったように小学校教員および教職を志望する大学生・大学院生に対する調査結果を踏まえ,社会的・人格的要因が積極的授業参加行動とどのように関連しているのかを質問紙調査によって検討する。その際には,複数学年を調査対象とし,学年差について横断的な比較を行うことで,以前に実施した調査との比較を行い,積極的授業参加行動の様相を確認するとともに,その後に実施する縦断調査のための知見を得る。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に引き続き,研究打ち合わせ及び調査実施に赴くための旅費を必要とする。また,調査実施にあたっては,文献・資料などの複写費,質問紙調査に必要な印刷用紙・文具などの購入費用,調査実施にあたっての説明書・研究協力同意書の印刷費,各種文書の郵送費も必要となる。さらに研究協力者および研究協力者の勤務先の学校に対する謝金も必要である。 調査実施後は,調査データの整理のために,研究補助者・資料整理補助者の雇用を計画しており,それらに対する謝金も計上している。 さらに,研究成果を発表するため費用として,国内学会での成果発表旅費,研究成果投稿料・報告書印刷費を計上する。 平成24年度に設備備品費として計上していた,デジタルビデオカメラ,三脚,保存用HDD・記録メディア,分析用パーソナルコンピュータなどについては,調査・観察の計画が具体化されなかったため,購入時期をずらした。これらに関しては,平成25年度中に購入の予定である。
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