期間を1年延長した2017年度は,最後に収集したデータの入力をアルバイト学生に依頼し,作業を完了した。足掛け4年にわたって集めたデータの分析はいまだ一部しか終えられていないが,その一端を2018年9月の日本心理学会で発表する予定でいる。 研究期間全体を通じて行ったことをまとめると,初年度は予備調査として,就園前の2歳前後の子どもがいる約30家庭に対し,日誌調査を実施した。内容は,(1)子どもを家に置いて母親が出かける,(2)母子で外出し,外出先で一時的に母子が別行動をとる,(3)子どもが母親の同行なしに外出する,の3点で,同伴者の有無,母子が離れて過ごした時間,離れている間のトラブルについて記録を行ってもらった。この予備調査を経て,2013年より本格的な縦断調査を開始した。当初は420家庭に調査を依頼し,上記(1)~(3)について,3~6ヵ月ごとにデータを収集した。この間のデータ収集回数は10回,最後まで調査に協力してもらえた家庭は約220であった。分析がすべて完了したわけではないが,3つのコホートの縦断追跡を通じて,就学前から就学後にかけて,家での留守番,それも一人での留守番やきょうだいとの留守番が著しく増えること,外出先での母子の別行動は,小1後半ごろまで増加し,その後,緩やかに減少すること,そして子どもだけでの外出が小学校1年生後半以降,急激に増加することが明らかになった。 発達心理学の分野では,小学生のデータはたいへん少なく,また親子関係の発達,子どもの自立を「離れる」そしてまた「近づく」といった観点から解き明かそうとしたものはない。その点で,本研究の成果は,発達心理学の世界に大きな貢献をもたらしたものと考えられる。
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