研究課題/領域番号 |
24530841
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 名古屋芸術大学 |
研究代表者 |
木村 美奈子 名古屋芸術大学, デザイン学部, 講師 (50457917)
|
研究分担者 |
加藤 義信 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (00036675)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 人形 / 外的表象 / 表象性理解 / 幼児 / 実験 |
研究概要 |
本研究は、主に2つのことを目的としている。第1に、幼児期の子どもが“人形(ぬいぐるみも含む)”を、外的表象として明確に理解するようになるまでにどのような過程をたどるのか、主に実験的手法を用いて検討する。第2に、その知見に基づき、これまで申請者たちが提唱してきた映像の表象性理解の三段階発達モデルを外的表象全体の理解の発達モデルへと拡張し,その精緻化を図る、である。 平成24年度は、本研究課題の最初の年度であるので、まずは幼児がどのように人形を扱うか、またそれらの種類の違いによって理解が異なることがあるかを調べるため、実物との類似性が異なるタイプの人形を多種類用意し、観察も含めた予備的実験を行った。課題の種類は、人形が、視覚や皮膚感覚を有すると子どもが考えているか否かを問うものや、人形が話すことが出来ると考えているかを問うものなどである。これらの結果、幼児が人形を実在物のように扱うことがあること、また、生きている人間や動物のような感覚や能力を、人形が有していると考えているかのような反応が見られた。しかしそのような反応は、一人の子どもの中で常に見られたわけではなく、人形の種類によって異なる反応を見せる場合もあった。すなわち、幼児はひとくくりに人形を外的表象の一種として理解しているわけではなく、種類の違う人形に対して、異なる理解を有していることが示唆された。また、人形を外的表象として理解するようになる過程には、映像理解の発達に見られたようなゆらぎの段階が存在する可能性が示された。今年度は人形の側の要因を主に操作して観察実験を行ったので、次年度はさらに人形を操作する際の文脈的要因を加えて、本格的な実験を行う予定である。 また、今年度は、目的の第2に示した三段階モデルの精緻化のため、文献を収集し、映像の表象性理解の発達との差異や、〈心の理論〉の発達との関連について検討を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年次である本年度は、二年次の本格的な実験を行うために、子どもの観察と予備実験を行う計画を立て、それを実行した。この予備実験によって、本実験の手続きや条件を確定するための知見が得られたと考えている。ただし、詳細な分析は本年度中に完了することが出来なかった。 モデル精緻化のための文献収集と検討は、さらに広く、より深く進める必要性を感じている。
|
今後の研究の推進方策 |
二年次は、初年次の予備的実験の結果をもとに本実験を組み立て、実行し、その結果の整理および分析・解析を行う。本実験の実施と結果の整理での主研究者は木村であり,分析・解析は木村と加藤がで共同で担当する。実験の実施にあたっては研究協力者として瀬野由衣(愛知県立大学)が加わる。 最終年次は実験結果のまとめと論文執筆,報告書の作成,国内外の諸学会での研究成果の発表を行う。実験結果のまとめを加藤と瀬野が,モデルの精緻化作業を木村と加藤が,論文執筆を木村がそれぞれ中心となって行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
初年次の設備備品の購入計画では、記録用デジタルハードディスクビデオカメラを購入予定であったが、実行することが出来なかったため、二年次に購入する予定である。さらに、本実験の分析のために、統計解析ソフトIBM SPSS Statistics Baseを購入予定である。当初の計画では1台の購入予定であったが、実験の精度を高めるためにも2台購入することを考えている。二年次には分析用デスクトップパソコンを購入予定であったが、初年次の予備実験の分析のために、すでに初年次に購入した。 旅費等では、当初の計画どおり、日本国内での学会(日本心理学会および日本発達心理学会)への参加が2件×2人、研究会(認知発達理論分科会)の参加が2件×2人、国際学会への参加が1件×1人を予定している。
|