研究課題/領域番号 |
24530841
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研究機関 | 名古屋芸術大学 |
研究代表者 |
木村 美奈子 名古屋芸術大学, デザイン学部, 講師 (50457917)
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研究分担者 |
加藤 義信 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (00036675)
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キーワード | 人形 / 外的表象 / 表象性理解 / 幼児 / 実験 |
研究概要 |
平成24年度は、幼児が人形の表象性を理解するようになる過程で、人形と実物との類似性の差異の大きさによって、その理解に違いがあるか否かを調べるために、異なるタイプの人形を多数用意し、観察および実験を行った。 平成25年度は、ここから得られたデータを分析するために、データの整理の方法について検討し、実際に整理を行った。その結果、幼児の中には人形を生きている人間のように扱う反応(実在視的反応)を見せる子どもが有意に多く存在することがわかった。こうした反応が人形の種類によって異なるか否かを調べたところ、有意な差は見いだされなかった。 この結果をもとに、新たな実験条件を検討するために、予備実験的な観察を行った。すなわち、実在視的反応を子どもに起こさせる要因は何か、なぜ実物との類似性の高低が、子どもの反応に影響を与えなかったのか、等を調べるための実験をデザインすることが目的であった。この結果から次の実験には、人形の志向性の要因を操作する条件を加える必要があることが考えられた。 また、本年度では、データ分析の結果から、三段階モデルの適合性についても検討し、モデルの精緻化に努めた。 さらに、人形に対する実在視的反応の解釈について理論的な見識を深めるために、子どものふり遊びや、外的表象理解に関する国内外の文献にあたって研究会で報告し、検討を行った。 次年度はさらに、データの分析、発達モデルの精緻化を進め、また志向性を操作する条件や、実験場面の文脈を操作する条件を加えた実験を行うことを予定している。そして、これらの結果を基に、国際的な学会誌への投稿を視野に、論文作成を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に行った実験を基に、平成25年度はデータの分析とモデルの精緻化、理論的基盤の検討と深化に努め、一定の成果が得られたと考えている。一方で、申請当初に予定していた実験条件、すなわち、幼児と人形の関係を規定する文脈的要因を操作する条件を盛り込んだ実験を行うことができなかった。本年度はこれを行い、平成24年度の実験結果と合わせてデータの整理、分析を行う必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年次はまず、追加の実験の計画・実行・分析および実験結果のデータ整理・分析を行う。実験の実施と結果の整理での主研究者は木村であり、分析は木村と加藤が協同で担当する。実験の実施にあたっては、研究協力者として瀬野由衣(愛知県立大学)が加わる。また、本年次は最終年次であるので、実験結果をまとめ、論文執筆、報告書の作成、国内外の学会での研究報告を行う。実験結果のまとめは、加藤と瀬野が中心に行い、モデルの精緻化作業については木村と加藤が主に行う。また論文の執筆、報告書の作成は木村が、学会発表は木村と加藤が中心となって行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度では、当初予定していた人件費や謝金を大幅に下回った。また旅費に関しても、当初予定していたより下回ったため。 新たな実験のための準備費とデータの整理に人件費を使用する。また英語論文作成のための校正費に使用する予定である。
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