本研究では、幼児が人形やぬいぐるみを生きた実在ではなく、単なる物質として理解できるようになるまでの過程を実験的に調べた。人形の課題では、人形がモノの隠し場所を見て、その知識を他者に伝えることができるか、また、ぬいぐるみの課題では、ぬいぐるみがモノの温かさを触知し、それを他者に伝えることができるかについての子どもの認識を調べた。その結果、人形・ぬいぐるみとも実物との類似性に関係なく、多くの幼児に人形やぬいぐるみを実在視するかのような反応が見られた。このことから、幼児期では人形やぬいぐるみを完全には物質として理解していないことがわかった。
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