研究課題/領域番号 |
24530844
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 帝塚山大学 |
研究代表者 |
小椋 たみ子 帝塚山大学, 現代生活学部, 教授 (60031720)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 母親の発話 / 身振り / 言語発達 / 共同注意 |
研究概要 |
I. 母親の働きかけ行動の年齢推移及び、子の言語発達との関係を明らかにした。91名(9ヶ月25名、12ヶ月児23名、18ヶ月児23名、21ヶ月児20名)の母子のままごと場面の分析を行い、次のことを見出した。1. 母親の発話:1)母親の発話方略は全年齢を通して子が注意を向けている事物、事象や活動にそったfollow発話がlead発話より出現頻度は高く、follow発話では説明、lead発話では呼びかけの出現頻度が高かった。2) 母親の発話は、18ヶ月の語彙急増期、21ヶ月の文法出現期ではfollowの質問の出現頻度が説明の次に高かった。3)母親の発話と子どもの言語発達の関係は、lead呼びかけは12ヶ月では語彙発達と負の関係が、follow呼びかけは9ヶ月で語彙理解と正の相関が、12、18ヶ月でfollow質問は語彙発達と正の相関があった。共同注意状況での母親の言葉かけの重要性が確認された。 2. 母親の身振り:1)どの年齢でも殆どの身振りには発話が伴っていた。また、発話に伴う身振りは年齢に伴い減少し、9ヶ月が70%で高かった。2) 9、12ヶ月は18、21ヶ月よりも身振りでの働きかけが多かった。3)母親の身振りは9、12ヶ月は提示、例示が高く、身体的での直接的な働きかけは9ヶ月が高かった。一方、指さしは21ヶ月児が高かった。4)子どもの注意が向いているときは例示や手渡し、指さしが多く、注意が向いていない時は、提示が多かった。 3. 母親のlead発話に身振りが随伴する場合や母親のlead発話へ子が注意をredirectした場合は言語発達と正の相関があった。 II.保育士の子どもへの言語・非言語での働きかけ行動を明らかにするために0歳、1歳、2歳児クラスで絵本の読み聞かせ場面、ままごと場面を設定してもらい、2園で19名の保育士のかかわりと子どもの反応を2方向から録画した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
母親の働きかけ行動の分析とまとめは順調に進んでいる。母親の養育についての信念質問紙、子どもの社会化目標質問紙、子どもの気質質問紙と母親の働きかけ行動の関係の分析が進んでいない。保育士データの収集は進んでいるが、分析が一部しか進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
1.24ヶ月児の母親の働きかけ行動のデータ分析を行い、9、12、18、21、24ヶ月児でデータを再分析し、母親の働きかけ行動の年齢推移、及び言語発達との関係を明らかにする。また、質問紙での24ヶ月、33ヶ月の追跡調査を行い、言語発達(語彙理解、語彙表出、文法発達)との関係を明らかにする。 2. 母親の働きかけ行動に関与する要因と言語発達の関係を明らかにする。すでに収集した9、12、18ヶ月母親のことばの発達、社会化の目標についての信念と母親の言語・非言語働きかけ行動との関係を明らかにする。2)9、12、18、21、24ヶ月児のすでに収集されている子どもの気質質問紙、母親の言語・非言語働きかけ行動、子どもの言語発達 (JCDIs)との関係を明らかにする。 3.9ヶ月児で18ヶ月追跡観察を行なった子どもの4歳半時点での言語発達(PVT-R, J-COSS, WPPSI)について大学での検査、観察を行う。 4.保育士データの収集をふやし、分析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.データ収集、分析のための研究補助者の雇用、追跡調査の対象児への謝金が主な使途である。
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