研究課題/領域番号 |
24530844
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研究機関 | 帝塚山大学 |
研究代表者 |
小椋 たみ子 帝塚山大学, 現代生活学部, 教授 (60031720)
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キーワード | 養育者 / 発話機能 / 言語発達 / 音声・言語模倣 / 母子相互交渉 |
研究概要 |
9,12,18,21,24ヶ月児(計117名)の母子の遊び場面の母親の発話機能と母子の音声・言語模倣を分析し,年齢推移(発話機能は平成24年度研究実績で報告済み)と追跡調査(2歳、33ヶ月)の言語発達との関係を明らかにした。 1.母親の言語入力の発話機能は9,12ヶ月児で2歳時点(49名)の子の言語発達と関連し, 18ヶ月児の母親の発話機能は2歳時点の子の言語発達とは関連がなかった。9ヶ月児の注意非共有状況での母親の質問は2歳時点の言語発達と負の偏相関(観察時点の語数と母の発話数を制御)があり,また,12ヶ月児の注意共有状況での質問も2歳時点の言語発達とは負の偏相関があった。一方,12ヶ月児で子の注意関心がある活動や事物の属性についての母の説明は2歳時点の言語発達と正の相関があった。 2.18,21,24ヶ月児(計69名)の母子の遊び場面で母子は双方の発話を模倣し,母の模倣の頻度が子の模倣の2倍あった。また,母開始の模倣ターン数は子開始のターン数より長く,子が母の発話を模倣したら,さらに母がそれを模倣していることが示された。母は子の発話を繰り返したり,拡充模倣した。その内容は助詞・助動詞,語の拡充であった。子は母の発話の縮小,繰り返しの模倣を行い,内容は語や助詞,助動詞を縮小して模倣していた。また,母子ともに子どもの語彙数,文法発達が進んだ24ヶ月児が18ヶ月児よりも模倣数もターン平均値も高かった。このうち、33ヶ月追跡児47名で,子の模倣に対する母親の反応をReturn反応,新たな発話反応,No verbal responseに分類し,さらにReturn反応の模倣を繰り返し,拡充,縮小,拡充+縮小に分類し,言語発達との関係を明らかにした。24ヶ月児で母親が子の模倣に対して新たな発話で反応したり、拡充,拡充+縮小模倣で反応することが追跡時点33ヶ月の表出語数と相関していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
養育者の働きかけ行動と言語発達の関係については分析が進み,成果がでてきている。 養育者の働きかけ行動に及ぼすと予想される子どもの気質と,母親の養育についての信念については分析できていない。4歳半の大学での観察,検査の追跡は対象児が幼稚園にいっていて,日程調整がむずかしいので,5歳時点質問紙郵送調査に変更した。
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今後の研究の推進方策 |
1.ままごと場面の母親の平均発話長や育児語,心的語などの量的指標を算出し,子どもの言語発達との関係を明らかにする。 2.養育者の働きかけ行動に及ぼすと予想される子どもの気質と母親の養育についての信念について分析する。 3.絵本場面の母親の働きかけ行動の分析を進める。 4.5歳時点の追跡質問紙調査を行う。 5.保育士データの分析は方法論が異なるのと,時間がないので行わない。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度未使用額は米国シアトルで開催されたSRCDでの2014年4月19日の発表を取り消し(病気のため)で旅費などを使用しなかったことと,4歳半追跡を質問紙郵送調査に切り替えたので対象児謝金を使わなかったこと,保育所でのデータ収集を行わなかったことによる。 データ分析のための研究補助者の雇用と学会発表のための経費が主な使途である。
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