研究課題/領域番号 |
24530845
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研究機関 | ノートルダム清心女子大学 |
研究代表者 |
湯澤 美紀 ノートルダム清心女子大学, 人間生活学部, 准教授 (80335637)
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キーワード | ワーキングメモリ / 学習 / 特別支援 / 職業訓練支援 |
研究概要 |
「ワーキングメモリ」とは,短時間に頭の中で情報を保持・操作する能力を指し,私たちの日常生活を支える重要な能力である。本研究プロジェクトは,1)ワーキングメモリのアセスメント,2)学習支援,3)職業訓練支援の3つのユニットから構成され,ワーキングメモリに基づき児童・生徒の認知的特性を把握したうえで,学習不振や発達障害の問題を抱える児童・生徒に対して適切な学習支援・職業訓練の在り方を検討することを目的とする。25年度の目的は大きく3つあった。 一つは,児童・生徒の認知的特性を把握するためのコンピュータベースのワーキングメモリアセスメントを,研究協力校の特別支援高等学校1年生に実施し,個々の認知的特性を明らかにしながら,具体的な支援の在り方を先生方と検討することであった。二つ目は,研究協力校独自の「ワーキングメモリ理論に基づいたユニバーサルデザイン」を作成し,それをもとにしたチェックリストを活用し,授業改善を目指すことであった。三つ目は,ワーキングメモリのプロフィールを生徒・教師が共有しながら,自己理解を促しながら,自己理解に基づいた就業支援の在り方を先生方と検討することであった。予定通り,25年度において,すべての研究を実施した。 また,研究協力者の山田充先生(ことばの教室教諭・特別支援教育士SV)/村井敏宏先生(ことばの教室教諭・特別支援教育士SV)をお迎えして,「事例から学ぶ:読み書きに問題を抱える児童への支援」と題して講演会を行った。具体的な事例をベースとしながら,より実際的な学習支援の在り方が紹介され,そこでの知見は,次年度以降の研究にも反映される予定である。参加人数は90名であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していた以下の内容について,25年度実施できた。 1)「ワーキングメモリの理論に基づいたユニバーサルデザイン」を研究協力者とともに作成し,ワーキングメモリ理論にもとづいた学習支援の指針を示した。 2)パーソナルコンピュータベースのワーキングメモリアセスメントを,研究協力校の特別支援高等学校1年生に実施し,個々の学び方の多様性を明らかにした。 3)研究協力校の特別支援高等学校独自の「ワーキングメモリの理論に基づいたユニバーサルデザイン」を作成し,それをもとにしたチェックリストを活用することで,授業改善に貢献した。
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今後の研究の推進方策 |
今後とも,研究協力校における学習・職業訓練の両面における支援のニーズに基づきながら,長期的な研究を実施する。 平成26年度は,生徒と教師が,キャリアカウンセリングや学び方の授業を通して,自らの「ワーキングメモリの特性」に基づいたサポートブックを作成していきながら,学習場面・職業訓練場面において,自らの学び方の特性を踏まえながら,学びの質を向上させていくための具体的な方法について検討することを大きな目的とする。 また,研究協力校の特別支援高等学校独自の「ワーキングメモリの理論に基づいたユニバーサルデザイン」を,職業訓練場面に応用していきながら,職業訓練場面での環境調整の改善を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外出張の機会が,26年度にずれこんだため。 イギリスAshbrooks Schoolに訪問し(2014年4月30日~5月7日),授業観察を行うとともに,特別支援コーディネーターや校長にインタビュー調査を実施し,特別支援教育の実際を学び,本研究に活かす。
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