研究課題/領域番号 |
24530846
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北文教大学短期大学部 |
研究代表者 |
松田 浩平 東北文教大学短期大学部, その他部局等, 教授 (30199799)
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研究分担者 |
佐藤 恵美 東京富士大学, 経営学部, 准教授 (20569975)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | パーソナリティ / 反応時間 / 生理指標 |
研究概要 |
刺激語を主要5因子性格特性理論(以下,BIG5とする)に沿って配置するため,外向性と情調安定性に加えて,協調性,知性,勤勉性についても追加可能か検討した。さらに,バイタルモニタ(T7500M)の計測特性を検討し脳波と脳血流の変化と反応潜時との対応性について予備実験を予定していたが,予定していた機器構成では反応検出が不十分であることが判明した。このため,心理的反応に関する生理指標の測定にあたっては個人差や個人内変動を考慮した機器のチューニングを先行させた。 平成24年度は,平成25年度からの本格的な実験に備えるため,実験機器の調整とセットアップ作業として位置づけ,質問紙の規準関連妥当性を確認するためにBIG5とパーソナリティー表現の一つである将来展望や職業意識などとの関連性を調査し,所属機関の個人研究費を用いて,16th European Conference on Personality Psychology (Trieste/Italy) にて発表した。この結果をもとにBIG5より抽出する刺激語を決定した。 提示刺激は被験者の負担を考慮して23語とした。内訳は各因子について肯定語2語,否定語2語の4語とし,これに練習試行で用いる3語について視覚刺激と音声刺激を作成した。音声刺激については訓練を積んだ声楽家に依頼して作成した。 研究代表者の松田は,BIG5とPOMSの尺度を心理指標としてバイタルモニタ(T7500M)による生理指標測定のためのチューニングと,E-Primeによる実験機器の制御システムの開発を分担した。分担研究者の佐藤は,主にE-Primeを用いたパーソナリティ特性語に対する反応時間とBIG5およびPOMSの尺度値の関係をもとに実験で用いる特性語群を評価して決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の本実験で使用する特性語を決定するため,パーソナリティー表現の一つである職業意識や将来展望に関する調査研究を追加して実施した。さらに,予備実験で関西地区での予備実験ならび機器チューニングのためのデータ収集を予定していたが,その後の調査ならびに文献研究により生理指標の地域差を考慮するほどではなく,関西地区でのデータ収集を割愛した。また,E-Primeとバイタルモニタを連動させるための方法について分担研究者と検討ならびに試行錯誤を重ねた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,山形地区,東京地区,関西地区または九州地区で研究代表者と分担研究者が協力して本実験を進める。パーソナリティ特性語に対する反応時間,脳血流,脳波を定量的データとし,質問紙検査で確認されるパーソナリティ特性との関連性を検討する。パーソナリティ特性は,外向性,情緒安定性,協調性,知性,勤勉性である。このためBIG5とPOMSに加えてEQSとCMIを心理指標とする。実験仮説は,第2にパーソナリティ特性(外向性-内向性,情緒安定性‐情緒不安定)と反応時間の関連性が見られること,第2に反応時間にはパーソナリティ特性以外の規定要因が含まれ,脳波計,心電計,脳血流計によって測定される定量的データに要因があることとする。生理指標は心的健康度によって個人内変動が大きいためCMIを用いてチェックする。 パーソナリティ特性語に対する反応を反応時間と脳血流,心電図から測定するための実験手順は,ラポールとCMIによる心的健康度のチェックを行なったのち以下の手順とする。1)実験参加への同意確認,2)バイタルモニタの装着および実験教示,3)質問紙検査:気分尺度(POMS)またはCMI健康査票,4)反応時間練習試行:(3試行),5)単純反応試行:聴覚刺激と視覚刺激の同異判定課題(240試行)の反応時間と実験中の生理指標を測定,6) 性格評定試行:特性語による性格評定の反応時間を測定,7)文章評定試行:短い文章として提示された刺激語による性格評定の反応時間を測定,8)休憩,9) 質問紙検査(BIG5)とする。結果は,SPSS Advanced Statisticsを用いて解析を行う。さらにパーソナリティ特性以外の規定要因が含まれ,脳波計,心電計,脳血流計によって測定される定量的データに要因を特定するためAmosによる共分散構造分析を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験装置のチューニングと構成ならびに提示刺激の作成は平成24年度で完成させることができたので,平成25年度は本実験を行う。実験結果のデータ解析を行うため,解析用のソフトウェアとしてSPSSを用いるためこれらを分担研究者が使用する追加機能を含めて購入する。さらに実験では従来の心理検査も使用するためこれらを購入する。実験機器は,持ち運びが可能であるため,地域差を考慮するため調査旅費(九州地区または関西地区)を使用する。また実験協力者への謝金を必要とする。
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