2014(平成26)年度は本課題研究の最終年であるため、当初の研究目的に照らした場合に求められていた未調査であった韓国の関連施設を中心に訪問し研究交流を行った。 第1の成果は、韓国光州広域市において、ようやく起動しはじめた学校安全統合システムの第3段階である《Weeスクール》をおそらくわが国で初めて調査できたことである。ここでは、教育支援庁のもとにある学校で、学業中断生徒や非行青少年の教育的支援を行っている。実践内容については、3月末日に刊行した成果報告書に詳細を収めた。こうして、韓国では、国政課題と位置づけて教育支援庁が青少年支援システムを三層構造で構築した姿に接したことはわれわれに大きな影響を与えた。今後、わが国の学校・地域における青少年相談支援のあり方の検討にあたっては韓国のシステムを参照することなしには済ましえないと思われる。 第2の成果は、《光州女性・学校暴力被害者ワンストップセンター支援センター》(朝鮮大学校医学部付属病院)および《児童青少年性暴力専門センター光州ひまわり児童センター》を訪問して、職員(医師、看護師、弁護士、心理職、婦警など)と交流したことである。同時に弁護士事務所で聞きとり調査を行った。 研究代表者らの既報『若者自立支援の課題と特別な教育的ニーズ」(平成23年刊行)に引き続いて、これによって、急展開を遂げてきた韓国の青少年相談支援体制についてほぼ網羅することが可能になった。 国内の若者自立支援にかかる地域援助体制の再編成に関しては、北海道を中心に調査的研究を行った。『障害者総合支援法』(平成25年)によって、過疎地域をふくむそれぞれの地域において、さまざまな手立てが講じられるようになっている。「少子高齢化時代の若者自立支援」施策が必要である。そのためには、すぐれた専門的力量を有する支援者の養成が必要であり、法的整備が不可欠である。
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