研究課題/領域番号 |
24530849
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
平野 直己 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (80281864)
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研究分担者 |
青木 紀久代 お茶の水女子大学, 人間文化創成科学研究科, 准教授 (10254129)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 日本人学校 / メンタルヘルス支援 / 教育相談 / 臨床心理学的地域支援 |
研究概要 |
①クアラルンプール日本人学校(JSKL)での実践調査:6月と11月の2回実施し、子どものメンタルヘルスに関する調査可能性について管理職と打ち合わせたが、当該年度内の実施はかなわなかった。また、日本人学校において有効なアプローチのメニュー作りに関して、いくつかの取組みを行うことができた。 ②アスンシオン日本人学校ならびにニューヨーク日本人学校への実践調査と視察:(a) JSKLでのリサーチクエスチョンの特異性、非特異性をもつかを検討する必要が生じたことと、(b) JSKLでメンタルヘルスの課題の調査を実施することの困難に直面しあらたな調査の方向性を見いだす必要が生じたことから、上記2校を訪問し、アスンシオンでは実践調査をニューヨークでは視察と今後の実践調査引き受けの打診を行った。(a)については多くの示唆が得られ、(b)に関しては日本人学校の設置されている地域環境をはじめとした構造上の側面とメンタルヘルスの関連について日本人学校勤務経験をもつ教師(帰国後の教師)を対象に行うことが、量的調査にも耐えるデータを得る点を含めて適切であるという結論に至った。 ③学会発表と論文発表:9月に愛知で開催された日本心理臨床学会において、「日本人学校へのメンタルヘルス支援の可能性の検討(II)」というタイトルでポスター発表を行った。日本国内から電話相談という形で日本人学校支援を行っている研究者とも交流を深めることができ、情報交換をすることができた。また、ここまでの成果を紀要論文「日本人学校へのメンタルヘルス支援の可能性の検討:予備的実践調査からみえてきた現状」としてまとめ発表を行った。 以上、当初の研究目的に従いながらも、実際のアクションリサーチのなかで、研究実施計画とは若干の方向転換を図りながら柔軟に研究を遂行することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記載した通り、研究目的に従いながら研究は進められているが、実践を通しての研究であるという研究遂行上の特性から、当初の実施計画を修正しつつすすめることになった。 具体的には、現場の教師、保護者、児童生徒への直接の質問紙調査が困難になったことが、解決すべき研究遂行上の課題となったため、① JSKL以外の日本人学校への訪問の実施、② 質問紙調査の対象を日本人学校から、日本人学校を経験した教諭(帰国後の教諭)に変更することとした。 以上の諸点を鑑みて、上記の評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
① JSKLでの実践調査の継続:2013年10月下旬に訪問し、教育相談活動を通した実践調査を継続する予定である。またその中で児童生徒へのメンタルヘルス調査の可能性を、管理職に再度交渉する。 ② JSKL以外の日本人学校への訪問:①で得られたメンタルヘルス上の課題などのもつ地域・文化をはじめとした構造的な特異性と非特異性を検討するために、いくつかの日本人学校への訪問を実施する。訪問依頼において、実践調査の可能性も検討する。 ③ 日本人学校の構造的特徴と学校関係者のメンタルヘルスの関連を明らかにするための量的調査:日本人学校にて勤務経験を持つ教諭を対象にした、質問紙調査を作成し実施する。2013年度は対象となる教諭への協力依頼と、質問項目選定のためのインタビュー調査を実施する。 ④ 学会発表と論文発表:日本心理臨床学会での発表と紀要論文の発表は継続的に行う。また、最終年度にシンポジウム開催の可能性も検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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