研究課題/領域番号 |
24530850
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
織田 信男 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (80250645)
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研究分担者 |
佐々木 誠 岩手大学, 三陸復興推進機構, 特任准教授 (50704227)
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キーワード | スーパーヴィジョン / スーパーヴァイザー / スーパーバイジ― / 電子メール / スカイプ |
研究概要 |
平成25年度は、4名のスーパーヴァイジー(Svee)に対して2名のスーパー・ヴァイザー(Svor)が1年間行ったスーパーヴィジョン(SV)のSveeの評価をもとに,対面,電子メール,スカイプといった3つのコミュニケ―ション・メディア(CM)の効果を比較検討した。 方法:1.対象者:Sveeは研究開始時に臨床心理士資格取得前の4名。2.手続き:2名のSvorが4名のSveeに月1回SVを実施。3.質問項目:事例困難度,感情気分評定20(福島・高橋・松本・上田・中村,2005),SVの時期の適切度等。 結果と考察:肯定的感情と否定的感情,事例困難度を従属変数として,3(対面SV・電子メールSV・スカイプSV)×2(事前・事後)の分散分析を行った。結果は,測定時点の主効果が3つの従属尺度で認められ、事前に比べて事後において肯定的感情は上昇し、否定的感情と事例困難度は低下した。肯定的感情に関してはCMの主効果も認められ,多重比較の結果,メールSVよりも対面SVの方が有意に高かった。負担度に関しては,対面SVは電子メールSVやスカイプSVに比べて地理的・経済的負担が大きかったが,心理的負担では有意な差が認められなかった。 SV後のSveeの自由記述より,対面SVの長所は「メールよりも追加情報を出しやすい」等,短所は「要点のまとめにくさ」等であった。メールSVの長所は「スカイプや対面よりもSVの準備時間がかからない」等,短所は「資料作成の難しさ」等,Sveeの個人差が大きいCMと言える。スカイプSVの長所は「自宅にいるので緊張感が小さい」等,短所は「通信状態が悪く,集中しにくい」等であった。 SVをより効果的にするためには,SveeとSvorの両者がSVの目的とCM毎の長所と短所を再確認する機会を複数設けることが重要であると示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,3つのコミュニケーションメディア(CM)によるスーパーヴィジョン(SV)の心理的効果の比較研究は,参加者の確保や手続きが比較的順調に進み,結果も仮説を支持するものが一部示唆されてきた。したがって,平成背26年度はさらにSveeを増やして、研究知見を収集する予定であり、研究の目的の達成度はおおむね順調に進展していると考えられる。平成25年度は,第2研究が全体的に順調に進んでいるので,平成26年度購入予定のブログとPCを1年早く購入することにより,事前に研究の準備を行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,第2研究である3つのコミュニケーションメディアによるスーパーヴィジョンの心理的効果の比較研究を継続実施する予定である。具体的には,研究知見の一般化を図る目的で,スーパーヴィジョン研究の参加者にスーパーヴァイジーを1名新しく加え,研究を実施する。また,第3研究であるブログ研究は,すでに平成25年度にブログ制作費とPCを1年早く購入し準備してきたが,予定よりも安価に購入できた。そこで,平成26年度の研究において膨大なデータの処理に多くの人材が必要となると思われるので、人件費・謝金を増額して使用する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
ブログ制作費とPCを1年早く購入し準備してきたが,予定よりも安価に購入できたため。 平成26年度の研究において実験参加者を増やすともに膨大なデータの処理に多くの人材が必要となると思われるので,人件費・謝金を増額して使用する予定である。また,旅費も研究成果発表のため増加する予定である。
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