研究課題/領域番号 |
24530853
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
堀田 香織 埼玉大学, 教育学部, 教授 (10251430)
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キーワード | 里親養育 / 虐待 |
研究概要 |
本研究は、児童相談所との連携のもと、被虐待経験をもつ里子を養育する里親家庭に、大学院生・学生を派遣するというサポートシステムの構築を目指すものである。合わせて、里親家庭を支援しながら、里子の心理的成長・回復過程と、里子・里親の関係性の形成をモデル化を試みたい。特に、問題行動が表面化し里親が対処に困りやすい、学童期から思春期の里子とその里母・里父を対象とする。 平成25年度は、①小学校2年生女子の里子と、実子の養育経験のない里母・里父、②小学校6年生女子の里子と、病気を抱える実子を養育してきた里母・里父、③高校1年生女子の里子と、母子家庭で実子を養育し実子成人後里子の養育を始めた里母、④小学校6年生男子、中学校1年生男子、中学校2年生、高校2年生、高校3年生女子と、グループホームの代表理事である里父を対象に学生派遣の支援と、里親対象の面接調査を行った。いずれの里子も被虐待経験を持つ。 大学でカンファレンスを行い、学生が支援にあたって直面する問題の検討を継続的におこなっているが、その中で浮かび上がったのは、里子たちの問題行動修正のための指導的態度と、共感的態度との間の葛藤、表面的には見えない、里子たちの抱える生育史上の問題理解、学生が持つ価値観と里子たちの課題とのすり合わせなどであった。里親へのインタビューでは、里子との生活の中で抱える問題状況(各里親家庭のルールをめぐる里親と里子の葛藤、里子の学校での問題、里子の症状、実親との関係上の問題など)とその理解の仕方、里子のもつ成長課題などをめぐるテーマが浮かび上がった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
里子支援と里親インタビューを行い、その結果を分析することができた。仮説的なモデルの第1段階の生成を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
現在継続中の里親家庭支援を続行し、並行して里親対象のインタビューを行う。里子支援のフィールドノーツ、インタビュー記録を分析し、現在生成しているモデルを精緻化し、結果を児童相談所および里親家庭にフィードバックする。
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次年度の研究費の使用計画 |
コンピュータなどの機器の購入を見合わせたことなどの物品費、里親家庭派遣への学生院生の人数と時間数が少なかったことなど人件費により、次年度使用額が生じた。 今年度、コンピュータの購入が必要である。さらにすべての家庭に4月から派遣するので、学生・院生への人件費がかかることが予想される。
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