本研究は、里子のもとに、治療的家庭教師や話し相手、遊び相手として大学生を派遣するとともに、里親に聴き取り調査を行ったものである。里親家庭では、家庭内のルールや家庭外の問題行動をめぐる葛藤が生じており、時に限界設定が必要となった。そして、里子が「家族」としての所属感を獲得することが、転機につながった。派遣学生にとっては、学習支援の工夫、児童期の里子からの過度な要求や支配への対応、思春期の里子との心理的距離の調節、規範意識の共有、里子による無力化への対応が検討課題となった。そして、こうした里子の行動について、学生がその意味を理解することの重要性が確認された。
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