研究課題/領域番号 |
24530859
|
研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
宮下 敏恵 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (40308226)
|
研究分担者 |
森 慶輔 足利工業大学, 工学部, 准教授 (90468611)
北島 正人 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (30407910)
西村 昭徳 群馬医療福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (70439032)
奥村 太一 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 講師 (90547035)
|
キーワード | メンタルヘルス / 項目反応理論 / 自己評価 / 教師 / MBI / バーンアウト |
研究概要 |
教師用自己評価システムを作成するために、平成25年度は項目反応理論(IRT)にもとづく適応型のチェックテストの項目の選定を行った。教師のバーンアウトに関する尺度やストレッサー尺度、ストレス反応尺度など様々な尺度を参考に、研究者メンバーで54項目を選んだ。この項目について公立小学校、中学校に勤務する教師835名に調査を行い、さらに抑うつ尺度であるSDSと、精神疾患全般をスクリーニングするK6尺度もあわせて調査を行った。SDSとK6尺度との関連から、適応型チェックテスト用の項目として4因子、35項目を暫定版尺度として採用した。この35項目をもとに、定期的に実施できるIRTにもとづくプログラムを現在作成中である。 また世界中で幅広く用いられているバーンアウト尺度のMBI-ES尺度を日本語に訳した。マスラックバーンアウト尺度の教師向け尺度である。アメリカのMind Garden社が版権を所有しているため、日本語版の翻訳申請を行い許可を得て、MBI-ES尺度の日本語版として登録を行った。またこの尺度と精神的健康度を測定するGHQ尺度、教職に対するやりがい尺度、感情労働尺度との関係を小・中学校に勤務する教師515名に調査したところ、GHQ尺度の起死念慮うつ傾向はMBI-ES尺度の脱人格化得点、GHQ尺度の他の5つの尺度(一般的疾患症状、身体的症状、睡眠障害、不安と気分変調、社会的活動障害)はMBI-ES尺度の情緒的消耗感得点と関連が高いことが示された。MBI-ES尺度の個人的達成感の減退とGHQ尺度とは高い関連はみられず、情緒的消耗感、脱人格化とは異なる影響を及ぼしていることが明らかとなった。世界中で多く用いられているこのMBI-ES尺度を用いることで諸外国の教師と本邦の教師のメンタルヘルスの比較を今後行うことができると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IRTにもとづく暫定版のプログラムの完成には至っていないが、現在プログラムを作成中であり、平成26年度にはプログラムを実施する予定であるため。
|
今後の研究の推進方策 |
IRTにもとづく暫定版教師用適応型チェックテストを作成し、調査協力をお願いした公立小学校、中学校において複数回、定期的に実施する。その結果をふまえて、改良を行い、チェックテストの、学校を単位とした職場におけるラインケアへの応用可能性を検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
教師用自己評価システムを作成するために、小学校、中学校教師に調査を行い、項目反応理論(IRT)にもとづく適応型のチェックテストの項目の選定を行ったが、プログラム自体の開発が遅れており、プログラム作成費用を次年度に使用することになったため。 教師用自己評価システムを作成する費用として用いる予定である。
|