研究課題
児童養護施設職員等へのフィールド調査および、被虐待児支援の専門家の助言を基に、後の解離性の問題の発達を予測する、早期解離性チェックリストを作成した。項目は、dysregulation、切替の困難、実行機能の不全、reflective function(メンタライゼーション)の未発達、ANS過覚醒などの行動特徴を示す27項目から構成され、評定の簡明さのため、3段階のリカート法で回答を求めるものとした。5つの施設の職員(ケアワーカー、臨床心理士;31名)が、担当する児童の状況について(匿名で、かつプライバシーに配慮して)発達的問題や被虐待歴を含むプロフィール、現在の解離性の問題の深刻度(3件法)および Child Dissociative Checklist(CDC; Putnam et al.,1993 )、そしてレトロスペクティヴに乳児期の状況について、上述チェックリストを用いて回答した。分析対象児童64名(平均年齢11歳、男児35、女児27、不明2)の、56%に発達上の問題があると報告され、未確証を含め38%に身体的、20%に性的、31%に心理的虐待、62%にネグレクト、24%にDV目撃があると報告された。30%に何らかの解離性の問題が認められ、内8名は深刻な支援上の困難があると報告された。チェックリストの回答の因子分析(最尤法プロマックス回転)により、dysregulation(実行機能の不全等を含む)、ANS過覚醒、reflective function未発達、の3因子が抽出され、各因子得点を独立変数とした重回帰分析により、dysregulationの高さ(β=.885, p<.001)とANS過覚醒の低さ(β=-.718, p<.05)によりCDC得点が説明された(R2=.466)。同様に、現在の解離性の問題の重篤さの報告も両因子で説明された。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 7件)
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