研究課題/領域番号 |
24530864
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
森田 美弥子 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (80210178)
|
キーワード | 臨床心理アセスメント教育 / ロールシャッハ法における着目点 |
研究概要 |
本研究は、臨床心理アセスメントの実践プロセスについて検討することを目的とし、特にアセスメント・データのインプット(どの情報に注目するか)と結果のアウトプット(どのように結果をまとめ、伝えるか)に焦点を当て、臨床家のアセスメント方略の実際をとらえること、そしてそれを臨床家養成教育に反映させるためのモデルを構築することを目的としている。 平成25年度は、臨床心理士養成指定校11校の担当教員を対象とした、アセスメント教育に関するインタビュー調査の結果を日本心理臨床学会第32回秋季大会(横浜)にて発表した。そこでは、投映法心理検査としてロールシャッハ法と知能検査としてウェクスラー法が重視され、これらの学習が臨床家としての基礎的学びとなること、他にも多様な心理検査が用いられているが、一方で背景理論についての学習時間が不足しがちであること、セラピー実践に結びつけた指導のあり方には、大学により、あるいは個々の学習者により質量ともに幅があることなどの問題点も明らかになった。また、フィンランドにおけるアセスメント教育の実際について現地でのインタビュー調査を行った。 心理臨床家によるロールシャッハ法データの読み取り方略(どこに着目して解釈に至るか)について、研修ワークショップ開催を兼ねて調査を行った。5ヶ所で実施し、62名の協力を得た。これをもとに、数名の現場臨床家及び大学院生と共同研究の形で、着目点の分類作業を開始した。臨床家の経験年数による違いを中心にまとめていく方針である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおりに進んでいる。アセスメント教育に関する調査は東海地区のみでの実施に留まったが、海外での訪問調査を実施することができた。心理検査(ロールシャッハ法)データ情報に関する着目点研究は、予定していた以上の協力が得られ、また若手臨床家との共同研究により多面的な検討が進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、①アセスメント教育に関するインタビュー調査結果(昨年度学会発表したもの)を論文化する。また、国際ロールシャッハ及び投映法学会(イスタンブール)に出席し、海外の研究者と養成教育についての情報収集と意見交換を行う。養成教育のモデル化の準備をする。②ロールシャッハ法分析過程における着目点に関する分析を進める。質的データであるため、分析には時間を要するが、予備的に一部を抽出してまとめることが可能であり、今年度は学会発表をする(日本ロールシャッハ学会を予定)。
|
次年度の研究費の使用計画 |
アセスメント教育に関する担当教員へのインタビュー調査を継続する予定であったが、先ずは東海地区での調査結果をまとめ成果発表して、ポイントを明確にすることが必要であると判断されたこと、海外でのアセスメント教育の動向を知る訪問調査の機会が得られたことから、養成教育については、これらを踏まえて次年度につなげることとした。また、アセスメント・プロセスにおける着目点研究の調査実施については計画よりも多くの場で可能となり、次年度に予定していた分析作業を先に開始した。 インタビュー調査の範囲を拡大するため、国際学会での資料収集を行う。着目点研究の一部を成果発表し、質的データ分析のための作業を進める。渡航費および調査・分析のための謝金支出が見込まれる。
|