研究課題/領域番号 |
24530864
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
森田 美弥子 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (80210178)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 臨床心理アセスメント / 臨床心理士養成教育 / ロールシャッハ法 / アセスメント過程における着目点 |
研究実績の概要 |
本研究では、「臨床心理アセスメント」の実践プロセスについて検討し、特にアセスメント・データを臨床家がどのように取り入れ、結果をどうまとめて伝えていくかというアセスメント方略をとらえ、それを養成教育に反映するためのモデル構築を目的としている。 これまでの研究成果として、①臨床心理士養成指定校におけるアセスメント教育の実際について担当教員へのインタビュー調査実施(2012年度)と、その成果発表(2013年度)、②臨床家のアセスメント方略の実践経験による変化プロセスを検討するための調査実施(2013年度)と、その成果発表(2014年度)を行った。 2014(平成26)年度の成果発表(日本ロールシャッハ学会)では、臨床心理検査として代表的なものとしてロールシャッハ法の分析解釈プロセスをとりあげ、心理臨床家がプロトコル(記録)のどこに着目してアセスメントを行っているのか検討した。約60名の対象者から得られた回答を分類し、経験年数による比較をしたところ、着目点そのものは経験による違いが見られないが、経験が多くなるほど、複数の着目点を結びつけて解釈に向かう傾向があること、着目点によって、数年程度の経験で理解が進むものと25年以上の熟練を要するものとがあることが示された。今年度は10枚の図版のうち3枚のみ抽出して分析したものであり、これ以外の部分については、さらに集計分類を進めている。臨床心理学専攻の大学院生及び臨床実践を行っている修了生とともに共同研究として進行中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定した調査については順調に実施でき、分析を進め学会発表を行った。論文化の準備を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たることから、これまでの研究成果をまとめ論文化を進めるとともに、主にロールシャッハ法を用いた臨床心理アセスメント方略モデルを構成し、その学習過程及び養成教育についての提言を含めた報告書を作成する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
アセスメント方略の検討結果の一部を分析し、成果発表をしたが、自由記述回答にもとづく質的分析であるため、引き続き検討を要することとなった。教育・研修のマニュアルとしても活用し得る報告書を作成予定であったが、全体分析の終了後が適切と判断した。
|
次年度使用額の使用計画 |
分析データ等の入力のための研究補助者への謝金、成果発表のための旅費、報告書作成費等を予定している。
|