研究課題
1)子どもの対人交渉能力に関するインタビュー調査:一般児童および要支援児童(計約130名)を対象にインタビュー調査を実施した。同対象には,併せて質問紙調査も実施し回答を得た。なお,調査は2014年度も継続を予定している。2)子どもの対人交渉能力と学校適応感に関する全国調査:6県12校の小学校において4~6年生(各学年約700名)を対象に質問紙調査を実施し回答を得た。3)対人交渉能力に関する日本とフィンランドの比較:両国の対人交渉方略の比較研究として,小学4年生と中学2年生(日本児童約750名,フィンランド児童約200名)を対象に収集したデータを解析し,その一部を2013年7月の国際学会(第15回欧州児童青年精神医学会議:ESCAP2013)において発表した。4)小学校における対人交渉能力発達支援に関するプログラム開発:小中学生の対人葛藤場面における解決方略と学校画について,小学4年生,小学6年生,中学2年生(計約600名)を対象に収集したデータを解析し,その一部を2013年8月の心理臨床学会第32回大会(横浜市)および9月の学校心理学会第15回大会(伊勢市)において発表した。これらの研究成果より,学校における子どもの対人関係への多面的なアプローチ,および子どもの対人葛藤場面における解決の見通しや方略使用の意図に着目した発達支援プログラムの開発が,日本人児童の学校適応を含めた心の健康支援において重要な意味を持つことが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
対面調査である1)の子どもの対人交渉能力に関するインタビュー調査については,2014年度も継続するが,それ以外はほぼ計画通りに進んでいる。
1)子どもの対人交渉能力に関するインタビュー調査:要支援児童を対象とした調査を継続しデータ収集を完了する。質的データのコーディング作業及びデータ解析を進め,結果を公表する。2)子どもの対人交渉能力と学校適応感に関する全国調査:収集したデータの解析を進め,結果を公表する。3)対人交渉能力に関する日本とフィンランドの比較:論文化を進め,学術研究誌に投稿する。4)小学校における対人交渉能力発達支援に関するプログラム開発:開発材料を充実させるため,上記のデータ収集・解析・論文作成を着実に進める。調査協力校を中心とした希望校に配布する小冊子作成の準備を行う。
次年度使用額が生じた主な理由は次の2点である,下記1)子どもの対人交渉能力に関するインタビュー調査において,短期間に複数名の臨床心理専門家を配置して調査を進める予定であったが,調査協力校との協議の結果,インタビュー調査は代表者と分担者のみで実施したため,謝金が不要となった。また,2)子どもの対人交渉能力と学校適応感に関する全国調査において,調査協力校への連絡手段の変更により,予定していた調査準備・実施に係る旅費や諸経費を最小限に抑えることができた。上記の変更を踏まえ,2014年度の主な研究費使用計画を示す。1)子どもの対人交渉能力に関するインタビュー調査:成果発表に係る学会参加費および旅費,2)子どもの対人交渉能力と学校適応感に関する全国調査:調査協力校への結果概要の報告に係る諸経費,成果発表に係る学会参加費および旅費,3)対人交渉能力に関する日本とフィンランドの比較:論文化における英文校正に係る費用,4)小学校における対人交渉能力発達支援に関するプログラム開発:学校における予防教育に関する専門的知識提供に係る教育関係者および心理専門家に対する謝金,成果発表に係る学会参加費および旅費が必要となる。
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Japanese Journal of Child and Adolescent Psychiatry
巻: 53(Supplement ) ページ: 14-25